2013年06月19日

資金循環統計(13年1-3月期)~個人金融資産は前年比54兆円増の1571兆円

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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■見出し

・個人金融資産(13年3月末):前期比では27兆円増
・資金流出入の詳細:リスク性資産へ資金がシフト
・部門別資金過不足等:企業の手元資金が過去最高を更新

■introduction

2013年3月末の個人金融資産残高は、前年比54兆円(3.6%)増の1571兆円となった 。前年比伸び率は07年6月末以来、残高は07年9月末以来の高水準である。12年度の一年間に26兆円の資金流入があったうえ、時価が28兆円増加したため、金融資産が大きく増加した。

個人金融資産への資金流出入について詳細を見ると、現預金からの資金流出が例年を上回る一方で、投資信託への資金流入額が2.5兆円と6年ぶりの高水準を記録、株式・出資金も前年の流出超過から流入超過へと転じている。投資環境の改善が続いたことで、家計の投資マインドに変化が生まれたようだ。

国債の残高については、財政赤字の影響で969兆円と前年比で49兆円増加し、過去最高を更新した。海外投資家の保有額が減少する一方、度重なる追加緩和によって日銀保有分は128兆円と大きく増加している。

また、民間非金融法人の現預金残高も225兆円と過去最高を記録。民間設備投資は未だ力強さを欠いており、企業は余剰資金を現預金として積み上げている。この大量の資金が今後投資に回るのかどうかが、アベノミクスの成否の大きなカギとなる。

(2013年06月19日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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