2013年06月07日

金融市場の動き(6月号)~海外マネーの逆回転が最大のリスク

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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  1. (株価) 株式市場の大荒れが続いている。その最大要因とされるのが米QE3の早期縮小観測だ。では何故米株よりも日本株の方が不安定化・下落しているのだろうか。そこには「過熱感の高まり」、「長期金利の不安定化」、「成長戦略への失望」という日本固有要因の存在が挙げられる。そして、今後の相場のカギを握るのは海外投資家の動向だ。海外投資家の資金が巻き戻されることになれば、マイナス・インパクトは大きい。彼らのマインドを根本から左右するのは米金融政策だが、QE3の縮小・停止はいずれ避けられない。市場が「まだ早い」とみなす段階での実施となれば、投資家マインドにマイナスに作用する。その時、日本株への影響を抑えるためには、上記のうち、「長期金利」と「成長戦略」が重要になる。日銀が長期金利の変動・上昇を抑制できるか?政府が今回先送りした分も含めて成長戦略を実行できるか?その行方次第で海外投資家は日本株への資金配分を変えてくるだろう。
  2. (日米欧金融政策) 5月は日米中銀が金融政策を現状維持としたが、ECBが利下げを実施した。米国では引き続き量的緩和の出口に関する活発な議論が行われており、要人による言及も多い。これらの動きを受けて、従来よりも早期の縮小観測が高まっている。
  3. (金融市場の動き) 5月の金融市場は、円安ドル高、ユーロドルは若干下落、長期金利は大きく上昇した。当面のドル円は上値が重い展開を基本として、株価に振られる展開を予想。そのほか、ユーロは堅調に推移し、長期金利は若干低下すると見ている。



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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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