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- 男子会で考える、若年層の恋愛離れと今後の動向?
先日、家族でディズニーランドへ行った。あるアトラクションに並んでいる際、後ろは大学生の男子3人組だった。ディズニーランドは若い男性にとってデートで行くところという印象を持っていたが、最近、こういう若者が増えているようだ。女子会ならぬ男子会としてカフェでスイーツを楽しんだり1、旅行で岩盤浴などを楽しんだりもするそうだ2。また、こういう男性たちは、女性のような行動を取るからといって、ファッションやヘアスタイルなどに気を使いすぎている様子もなく、ごく普通の外見の男性が多いようだ。ディズニーランドの男子大学生3人組も目立った特徴はなかった。チェックのシャツにチノパン、パーカーにデニムといった大学生によく見かけるようなカジュアルな服装で、サークルやアルバイトの話をしていた。
彼らに気づいた時、私の頭には日頃、仕事で使っているキーワードやデータがパッと浮かんだ。「異性との交際の消極化」「18~34歳の未婚男性で異性の交際相手がいない割合は61.4%3」「そのうち、そもそも異性との交際を望んでいない割合は27.6%」「男子会」「男女の趣味のボーダーレス化」「草食系男子」・・・。ディズニーランドの彼らは(彼女がいたかもしれないが)、データにあらわれている傾向を現象として直に目にしたようで感慨深かった。
ところで、草食系男子という言葉は、2006年にマスコミで使われ出した。当初の定義は「恋愛に縁がないわけではないのに、積極的ではない、肉欲に淡々とした男子」4。このほか「異性と肩を並べて草を食むような新世代の優しい男子」5というのもある。草食系男子は既に浸透した言葉だろうが、最近では「絶食系男子」なるものも存在するようだ。
結婚相談所のオーネットでは25~34歳の独身男性を5つに分類している6。
(※25~34歳の独身男性に対して自分がいずれに該当するか尋ねたもの:単一選択)
・肉食系男子:恋愛に興味旺盛で、女性に果敢に攻める(13.6%)
・優柔不断男子:恋愛に興味はあるが、女性に積極的になれない(27.0%)
・迷走男子:恋愛に興味はあるが、交際経験も乏しくさまよい続ける(29.3%)
・草食系男子:恋愛にガツガツせず、心優しいが女性が苦手(15.7%)
・絶食系男子:恋愛に興味はなく、女性無しで人生を楽しめる(14.4%)
草食系男子の定義は前述のものとやや異なるようだが、この草食系男子と絶食系男子が、先の「そもそも異性との交際を望んでいない割合は27.6%」に通じるのだろう。
また、同調査によると、恋愛に消極的な男性が多いものの、大半は結婚を望んでいる(全体で96.1%、絶食系男子でも81.8%7)。独身の理由は、肉食系男子以外では「女性との出会いの機会がほとんどない」が最も多く、次いで「経済・雇用の不安」(絶食系男子は同率首位)や「自分(の恋愛力)に自信がない」(迷走男子)が多い。なお、肉食系男子では「経済・雇用の不安」「自由さ気楽さを失いたくない」が多い。
つまり、結婚できない男性の課題は、まずは「出会い」のようだ(ちなみに、より規模の大きな調査等でも同様の傾向が出ている8)。これを解決するためにオーネット社のような結婚紹介サービスのほか、最近では自治体でも婚活支援事業に乗り出すところが多い9。今後も恋愛に消極的な若者は増えていき、このような婚活支援サービスは拡大していくのかもしれない。
では日本はどうなっていくのだろう、と将来が不安になるが、ここで思うのは、何ごとにも揺り戻しがあるということだ。例えば、男女雇用機会均等法が整備され女性の社会進出が進んだ頃、結婚をしない選択、子どもを持たない選択が新しい価値観として登場し、ややもてはやされたところもあったかと思う。しかし、その後、(様々な背景はあるのだが)若年層では結婚をしたい、子どもを持ちたいという意識は高まっている8。もしかしたら、現在は絶食系男子の登場などにより生じている若年層の恋愛離れも、時間の経過によって中庸に落ち着くのかもしれない。
その時に重要なのは、若年層が恋愛や結婚をするために支障のない経済力を持っていることだ。現在、若年層は厳しい雇用情勢にある。アベノミクス3本の矢の1つに「成長戦略」がある。平成25年度予算編成の基本方針10には「成長による富の創出」との政策方針のもと「若者や女性の就労促進を含む雇用対策等 により成長力の強化や雇用の安定に取り組む」とある。
いつの時代でも上の世代は若年層の価値観の変化には驚かされる。若年層が多様な価値観を体現できるように十分な経済力を持つためにも、アベノミクス効果に期待をしたい。

03-3512-1878
(2013年04月15日「研究員の眼」)
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