2013年02月12日

1月マネー統計~銀行の“運用難”の色彩が弱まる

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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■見出し

・貸出動向: 都銀の伸び率が拡大
・主要銀行貸出動向アンケート調査: 企業の資金需要増はわずかに鈍化
・マネタリーベース: 実質的に過去最高を更新

・マネーストック: リスク回避姿勢はやや後退

■introduction

日銀が2月8日に発表した1月の貸出・資金吸収動向等によると、銀行貸出(平残)の伸び率は前年比1.6%(前月は同1.4%)となった。伸び率の拡大は3ヵ月連続で、水準は09年8月以来の高水準となる。銀行貸出の増勢は徐々に明確化してきている。
業態別の内訳では、地銀(第2地銀を含む)が前年比2.5%(前月も同じ)、都銀等が同0.7%(前月改定値は0.2%)と引き続き地銀が優勢だが、都銀のキャッチアップも進んできている。貸出先別でみると、依然として中小企業向けはマイナス圏が続くが、大・中堅企業向けが好調さを増している(図表1~5)。

なお、貸出と預金との関係を見てみると(図表6)、依然として預金(実質預金+CD)の伸び率が貸出を上回っており、預金流入超過の状態が続いているが 、貸出の増勢が強まってきたことで両者の差はかなり縮小している。預金流入超過に伴う“運用難”への対応として、これまで銀行は国債を積極的に買い入れ、国債需要を強力に支える一つの要素となってきただけに、今後の動向と影響が注目される。

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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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