- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 不動産 >
- 土地・住宅 >
- 軽減税率導入の目的は何か~欧州諸国 : 逆進性の緩和よりも、国民生活にとって最も必要で重要な財の負担を軽減~
軽減税率導入の目的は何か~欧州諸国 : 逆進性の緩和よりも、国民生活にとって最も必要で重要な財の負担を軽減~
03-3512-1791
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
新政権が誕生し、補正予算の検討とともに税制調査会の設置などが進められている。消費増税については3党合意が守られ、粛々と増税に向けた詳細制度が構築されることとなる。自民党は2010年の参院選の時点から、消費増税に際しては複数税率で低所得者に配慮するとし、軽減税率の導入に前向きであった。公明党も消費税を8%に引き上げる時点で軽減税率を導入すべきとしていた。
学識経験者の間では、軽減税率の導入は、限定的であることと高所得者にも及ぶため、消費税の逆進性をいくぶん緩和するものの、その効果は少ないという指摘がある。また、所得は生涯でみるならば必ず消費されるため(遺産として残さない場合)、消費税は生涯所得に対する比例税であり逆進的にはならないとの見方などもある。
この点、筆者が、最近英国やイタリア、カナダを訪問した際に、0%税率や軽減税率の運用、あるいは給付制度を導入した目的を各国の財務省の担当者から聞いた結果は、実に意表を突かれるものであった。英国とイタリア財務省からの回答の趣旨は「0%税率や軽減税率を適用する財の基準は、国民生活にとって最も必要かつ重要な財であるかどうかによる」とのことである。こうした財について国民の負担を軽減するのが、0%税率や軽減税率の役割だという。同じ考え方により、非課税扱いが適用される場合もあるが、それらの措置に逆進性への配慮を重視するとの理由付けは得られなかった。
一般的な食料品や飲料水、書籍・新聞・雑誌、医療、福祉、公共交通、高価ではあるが国民生活の基盤である住宅などが、各国なりの事情によって0%税率や軽減税率の対象として取り扱われている。カナダではこうした観点から食料品の多くに0%税率が適用される一方で、逆進性を効果的に緩和するため、一定所得以下の世帯には、所得税からの給付制度が併せて運用されている。国民の重要資産である住宅への消費税の直接還付制度も運用され、住宅建設主や取得者の負担を軽減している。
新政権による今後の軽減税率や給付制度の構築にあたっては、逆進性の緩和だけにとらわれることなく、豊かな生活を維持し確保していくことを念頭に、最も必要で重要な財が何かという根本的な問いかけを広く国民に行い、適切な措置を講じていくことを期待したい。EU諸国やカナダなどでは、こうしたプロセスを通じ、国民の理解を得ながら政治的に困難な増税を実現してきた経緯がある。
(2012年12月27日「研究員の眼」)
03-3512-1791
新着記事
-
2026年01月23日
2026年の消費~緩やかな改善傾向のもとで進む「使い方」と「選び方」の変化 -
2026年01月23日
米個人所得・消費支出(25年10、11月)-10月以降も堅調な個人消費を確認 -
2026年01月23日
消費者物価(全国25年12月)-コアCPI上昇率は26年2月に2%割れの公算 -
2026年01月22日
省庁再編から25年など節目の年に考える社会保障改革論議-スピーディーな意思決定や縦割り打破に成果、政策形成に歪みも -
2026年01月22日
米国における日系企業の団体医療保険活用状況調査結果
お知らせ
-
2025年12月16日
News Release
令和7年度 住宅ストック維持・向上促進事業「良質住宅ストック形成のための市場環境整備促進事業」に関するシンポジウムの開催
-
2025年12月01日
News Release
-
2025年12月01日
News Release
【軽減税率導入の目的は何か~欧州諸国 : 逆進性の緩和よりも、国民生活にとって最も必要で重要な財の負担を軽減~】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
軽減税率導入の目的は何か~欧州諸国 : 逆進性の緩和よりも、国民生活にとって最も必要で重要な財の負担を軽減~のレポート Topへ









