2012年10月26日

消費者物価(全国12年9月)~コアCPI上昇率は当面ゼロ近傍の推移が続く見込み

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・コアCPIは5ヵ月連続のマイナス
・物価下落品目数の割合が3ヵ月連続で50%を上回る
・コアCPI上昇率はゼロ近傍の推移が続く見込み

■introduction

総務省が10月26日に公表した消費者物価指数によると、12年9月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比▲0.1%(8月:同▲0.3%)と5ヵ月連続のマイナスとなったが、下落率は前月から0.2ポイント縮小した。
コアCPIの内訳をみると、ガス代(8月:前年比4.1%→9月:同3.4%)の上昇幅は縮小したが、ガソリン(8月:前年比▲6.0%→9月:同1.8%)、灯油(8月:前年比▲4.2%→9月:同1.4%)がいずれも4ヵ月ぶりの上昇となり、東京電力の電気料金引き上げの影響から、電気代(8月:前年比5.5%→9月:同7.3%)の上昇幅が拡大したため、エネルギー価格の上昇率は8月の前年比0.9%から同4.3%へと大きく拡大した。エネルギー価格がコアCPI上昇率を前月に比べ0.3ポイント押し上げた。
一方、プリンタ、外国パック旅行の下落幅拡大などから、教養娯楽の下落率が8月の前年比▲1.2%から同▲2.1%へと拡大し、コアCPI上昇率を0.1ポイント程度押し下げた。
コアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が0.37%(8月は0.07%)、食料品(生鮮食品を除く)が▲0.02%(8月は0.00%)、その他が▲0.45%(8月は▲0.37%)であった。
消費者物価指数の調査対象524品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、9月の上昇品目数は193品目(8月196品目)、下落品目数は267品目(8月は270品目)となった。上昇品目数の割合は36.8%(8月は37.4%)、下落品目数の割合は51.0%(8月は51.5%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は▲14.1%(8月は▲14.1%)であった。物価下落品目数の割合は3ヵ月連続で50%を上回った。コアCPIの下落率は0.2ポイント縮小したが、品目数で見れば前月までと状況は変わっていない。
エネルギー価格は先行きも物価押し上げ要因となることが見込まれるが、ここにきて景気悪化が鮮明となっているため需給面からの下押し圧力が高まる可能性がある。コアCPI上昇率は当面ゼロ近傍で推移することが予想される。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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