2012年08月21日

タイ4-6月期GDP:前年同期比+4.2%~復興による高成長、だが外需不振リスクは残る

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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■見出し

・洪水被害から順調に回復
・年後半の成長には不透明な点も残る

■introduction

タイの国家経済社会開発委員会事務局(NESDB)は8月20日に2012年4-6月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率は前年同期比(原系列)で+4.2%となり、昨年後半に発生した洪水の被害から順調に回復していることを示した。4-6月期の成長率を前期比(季節調整値)で見ると3.3%の増加であり、1-3月期(同+10.3%)よりは改善ペースが鈍化しているが、高い伸びを維持していることが分かる。
成長の内訳を需要項目別に見ると(図表1)、内需が全体的に拡大していることが読み取れる。個人消費、民間投資、政府消費、公共投資のいずれの項目でも、4-6月期の伸び率(前年同期比)が1-3月期を上回っている 。特に、復旧作業のための設備機器の輸入が増え、4-6月期の投資は前年同期比+10.2%と1-3月期の5.2%より大幅に改善、2桁の伸びを見せた。結果として、内需(消費+投資)の寄与度は1-3月期では2.5%ポイントにとどまっていたが、4-6月期には5.7%ポイントまで拡大している。外需に関しては、4-6月期の輸出は前年同期比+0.9%と1-3月期(同▲3.2%)より改善を見せた。ただし、輸入も増加したため、純輸出の寄与で見ると4-6月期は▲4.4%ポイントと1-3月期(同▲4.7%ポイント)とほぼ同じ結果となった。
供給項目を見ると、全産業でプラス成長を遂げたことが特徴的である(図表2)。特に1-3月期に前年同期比▲4.3%とマイナス成長だった製造業が4-6月期には同+2.7%とプラス成長に転じたことが、成長を押し上げている。

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2002年 東京工業大学入学(理学部)
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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