2012年08月09日

7月マネー統計~日銀の資金供給量が過去最高を更新

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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■見出し

・貸出動向: 2年9ヶ月ぶりの高い伸び率に
・主要銀行貸出動向アンケート調査:企業の資金需要は2四半期ぶりの減少
・マネタリーベース:伸び率が拡大、残高は過去最高を更新
・マネーストック:投資信託は6ヵ月連続の前年割れに

■introduction

日銀が発表した7月の貸出・資金吸収動向等によると、銀行貸出(平残)の前年比伸び率は1.0%(前月は同0.8%)と2ヵ月連続で伸び率が拡大した。1.0%という伸び率は09年10月以来2年9ヵ月ぶりの高い水準である。
業態別で見ると、地銀が前年比2.4%増(前月は同2.3%増)と伸び率の拡大を続けている。また、都銀等は依然マイナス圏を脱していないものの、マイナス幅は同0.5%減(前月は同0.7%減)とかなり縮小してきた(図表1~5)。
銀行貸出残高は、世界経済の減速や欧州危機緊迫化に伴う設備資金需要等の下振れリスクを抱えつつも、復興に伴う資金需要や電力会社向け貸出増加の寄与などにより緩やかな増勢を維持している。
一方、貸出金利については厳しさを増している。新規貸出金利の推移を見ると、長期(一年以上)、短期(一年未満)ともに低下トレンドを示している(図表6)。
もともと振れが大きい統計であることや、金利を左右する貸出期間・貸出先の信用力が毎月一定でないことには留意が必要だが、日銀の金融緩和や預金超過構造での激しい銀行間競争による金利低下圧力が強く働いているのはまず疑いが無い。調達サイドの預金金利はもともと殆ど下げ余地がないため、銀行の利ざやは圧迫されている。

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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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