- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融政策 >
- 金融市場の動き(8月号)~ 円高の天井はどこか?
2012年08月03日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
- (為替) ドル円レートは長らく膠着感の強い状況が続いている。ドル円レートを被説明変数とし、日米2年債金利差を説明変数とする簡単な式を推計すると、ドル円の動きのかなりの部分が金利差で説明でき、日米金利差の安定が最近のドル円レート安定の背景にあることがわかる。ただし、このことは円高ドル安が進まないことを意味してはいない。仮にFRBが政策金利をゼロに利下げし、米2年債金利がゼロ%付近にまで下がると、理論上のドル円レートは1ドル73.7円となる。また、実際の為替が金利差による理論値から乖離することも多い。この乖離は金利差以外の為替変動要因、すなわち経常取引や投機取引、インフレ、為替介入などによるものだ。近年では上下ともに最大で5円程度理論値から乖離した時期があるため、米利下げがない場合でも足元の理論値1ドル78円から最大5円程度の円高はあり得ることとして念頭に置いておいた方が良いだろう。
- (日米欧金融政策) 7月は日銀が金融政策を維持する一方、ECBが利下げを実施した。8月に入り、FRB、ECBともに金融政策を維持したが、ECBは条件付きながらも今後の債券買入再開と追加的な非標準的手法の実施方針を示した。
- (金融市場の動き) 7月の金融市場もスペイン情勢など欧州危機を巡り緊張感の高い状況が継続した。ユーロは大きく下落し、長期金利は9年ぶりの低水準を記録した。欧州債務危機、世界経済の減速感はしばらく続くとみられ、当面の金融市場はリスク回避姿勢の強い状況を引きずりそうだ。
(2012年08月03日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/08/22 | 米利下げ再開が視野に、円高進行の目途は?~マーケット・カルテ9月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
2025/08/12 | 貸出・マネタリー統計(25年7月)~銀行貸出が連月で急増、定期預金も増勢を拡大中 | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
2025/08/04 | 長期金利1.6%到達は通過点か?~今後の金利見通し | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/07/23 | 参院選・日米関税合意を受けて円相場はどう動く?~マーケット・カルテ8月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
新着記事
-
2025年08月28日
東証の上場維持基準の適用が本格化~基準未達企業の対応状況~ -
2025年08月28日
増え行く単身世帯と消費市場への影響(3)-食生活と住生活の特徴 -
2025年08月27日
Z世代にとってサステナビリティは本当に「意識高い系」なのか-若年層の「利他性」をめぐるジレンマと、その突破口の分析 -
2025年08月27日
相次ぐ有料老人ホームの不適切な事案、その対策は?(上)-医療的ニーズの高い人の支援が不十分な点など背景を探る -
2025年08月27日
探索的空間解析でみる日本人旅行客の「ホットスポット」とその特色~旅行需要の集積が認められた自治体の数は、全国で「105」~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【金融市場の動き(8月号)~ 円高の天井はどこか?】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
金融市場の動き(8月号)~ 円高の天井はどこか?のレポート Topへ