2012年06月15日

アジア新興国、期待の星-「本命」インドネシア と 「ダークホース」フィリピン

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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■見出し

1―はじめに:なぜインドネシアとフィリピンか
2―そもそも、両国はなぜ成長できなかったのか
3―悪いレントの排除と成長期待
4―成長を持続させるための課題は山積み
5―おわりに:潜在力を発揮することができるか

■introduction

欧州債務問題など先進国を中心に成長が鈍化し、新興国でも景気が減速する国が増えるなか、アジアの新興国・地域には株価が史上最高値を更新している国がある。それが、インドネシアとフィリピンである(図表1)。特にリーマンショック以降、両国の株価は先進国全体や新興国全体の株価を上回るパフォーマンスを記録している。

インドネシア・フィリピン/先進国・新興国の株価指数

両国で好調なのは株価だけではない。実際の成長率も良好である。図表3にはアジアの代表的な新興国・地域におけるGDP成長率とその内需の寄与度を示した。この図からは、韓国・台湾・タイといった輸出主導の国は海外経済の成長減速を受けて成長が停滞、内需も低迷しているということ、一方、中国やインド・マレーシア・インドネシア・フィリピンの内需は好調さを維持できていることが分かる。2012年に入り中国やインドの成長率は減速しつつあるが、インドネシアやフィリピンの成長率は高い水準を維持しており、強い内需を背景に堅調な成長を実現している点で両国には共通点がある。マレーシアも内需が好調な国だが、マレーシアはASEANの中でも早い段階で高成長の軌道に乗っているという点でインドネシアやフィリピンとは状況がやや異なる。実際、マレーシアの一人当たりGDPは10000ドルに迫る一方で、インドネシアやフィリピンの一人当たりGDPは3000ドル前後と比較的低水準にとどまっており、両国はASEANの落ちこぼれ組だったといえる 。しかし、最近は、株価の最高値更新に反映されているように、インドネシアやフィリピンに高成長の期待が持たれている。

アジア新興国のGDP成長率と内需寄与度

なぜ、インドネシアとフィリピンは低成長国という汚名を返上し、成長期待を持たせる国になったのだろうか。果たして今後も持続的に高成長を維持できるのだろうか。

本レポートでは、今まで低所得国であったインドネシアとフィリピンが新興国の中でも高成長を期待させるような国となった理由について、両国の類似点や相違点も踏まえ、探っていくこととしたい。

(2012年06月15日「基礎研レポート」)

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

     ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
      アドバイザー(2024年4月~)

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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