2012年04月23日

持続可能社会への意思決定システム―民主主義の機能不全をどう乗り越えるか

土堤内 昭雄

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■見出し

1―社会保障と税の一体改革
2―揺らぐ民主主義
3―EUの財政危機対応
4―民主主義の危機をどう乗り越えるか

■introduction

政府は平成23年6月に「社会保障・税一体改革成案」をまとめ、「中規模・高機能な社会保障」の実現を図るために、(1)全世代対応、(2)未来への投資、(3)分権的・多元的供給体制、(4)包括的支援、(5)負担の先送りをしない安定財源の「5つの原則」を掲げた。
そして今年2月には「社会保障・税一体改革大綱」を閣議決定。そこでは、「全世代を通じた安心の確保を図る」とし、「子ども・子育て」、「医療・介護等」、「年金」、「就労促進」、「その他」の各分野における改革案を示した。それはこれまでの医療、介護、年金といった高齢者三経費を中心とした社会保障から、所得の再分配の強化や家族関係の支出拡大による全世代対応の社会保障を目指している。
平成21年度社会保障給付費(平成23年10月公表)をみると、総額99兆8,507億円、部門別では「医療」が30.9%、「年金」が51.8%、「福祉その他」が17.3%を占めている。機能別では「高齢関係」が49.9%と半数を占め、続いて「保健医療」が30.3%、「家族関係」と「失業関係」はわずか3.3%と2.5%だ。このようにわが国の社会保障給付は、「家族関係」や「失業関係」が極めて少ないという特徴があり、政策分野別社会支出の対GDP比の国際比較からもそのことがよくわかる。
しかし、全世代型への社会保障改革を行うための政策決定は難航している。それは高齢社会における社会保障の給付と負担の主体のミスマッチがあるからだ。そしてそこには高齢化・人口減少という人口構造の変化がもたらす民主主義の意思決定システムにおける構造的課題が存在する。今後、どうすれば高齢化という人口動態に逆行する政策決定を民主主義に則り行うことができるのだろうか。




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(2012年04月23日「基礎研レター」)

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土堤内 昭雄

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