2012年04月13日

電力不足はどこまで深刻なのか

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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  1. 原子力発電所の相次ぐ停止によって電力供給力が大幅に低下しており、電力需要がピークを迎える夏場には電力が大幅に不足することが懸念されている。
  2. 当研究所の試算では、今夏の最大電力需要が昨年並みであった場合、東日本では供給が需要を上回るが、中西日本では電力需給が厳しく、中部電力、関西電力、四国電力の3社は供給が需要を下回る電力不足の状態に陥る可能性がある。
  3. ただし、電力の不足幅は最も大きい関西電力でも▲4%程度とそれほど大きくない。供給力の積み増しやさらなる節電の取り組みによって、大規模停電などの深刻な事態を招くことは避けられるだろう。また、東日本大震災以降、企業、家計双方の努力によって経済活動を行うために必要な電力消費量が低下しているため、節電による経済への影響は限定的にとどまるとみられる。
  4. 懸念されるのは、電力供給に関する正確な情報が提供されないことによって、経済活動が必要以上に抑制されてしまうことである。その意味で、政府が電力会社任せではなく、第三者の評価を採り入れることで電力需給見通しの精度を高める方針を決めたことは評価できる。企業、家計が適切な節電対策を講じることができるよう、正確な供給力見通しをできるだけ早期に示すことが求められる。



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(2012年04月13日「Weekly エコノミスト・レター」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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