2012年03月22日

日銀短観(3月調査)予測~大企業製造業の業況判断D.I.は2改善の▲2を予想

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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  1. 3月短観では、経営環境好転を背景とした大企業製造業の景況感回復が示されると予想する。前回以降2月半ばまでは、欧州問題の緊張感が続き円も高止まりしていた。しかし、以降は危機が一服、米経済が堅調さを見せる中で円高修正が進み、経営環境は改善している。原油高など制約要因は残るものの、「6重苦の筆頭格」であった円高の修正やタイ洪水の影響剥落の効果が上回る。非製造業も政策面での追い風もあって消費は底堅く推移しているため、緩やかな改善となるだろう。先行きについては、円高修正や復興需要などを背景に製造・非製造業ともにさらなる改善を示すだろう。ただし、景気低迷や事業環境悪化への対応力が相対的に乏しい中小企業では大企業よりも控えめな結果を予想する。
  2. 11年度設備投資計画については、前回からほぼ横ばい圏に留まると予想。例年3月調査では中小企業において大幅な上方修正が行われる傾向があり、被災地での復旧・復興の動きもプラスに作用する。しかし、今年度の企業収益は厳しく、全体での上方修正は小幅に留まるだろう。また、12年度設備投資計画についても、まだ力強さは見られないだろう。
  3. 今回は翌年度の事業計画が公表される。市場の予測では、上場企業の11年度業績は二桁の減益を余儀なくされるが、12年度はかなりの増益になるとの見方が多い。短観では幅広い企業の収益計画が明らかになるほか、前提となる海外需要や想定為替レート、景気との関連が深い設備投資計画など、企業の現状での様々なスタンスが示される。来年度について明るい見通しを描いているのか、それとも慎重姿勢が勝るのか、注目される。



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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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