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- リタイアメント層の生活意識~いつからリタイア?楽しみ・不安・生活資金の考え方は?
2012年02月29日
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■要 旨
- 2012年から団塊世代が65歳を迎えはじめる。2007年にも団塊世代のリタイアには注目が集まり、一大消費市場の形成が期待されたが、再雇用や雇用延長で働き続ける層が多く、消費市場の活性化は限定的であった。しかし、今度こそ本格的な市場形成が予想されるため、今、改めて当該層の現状を捉え直す必要がある。本稿では、ニッセイ基礎研究所「平成22年リタイアメントマーケット調査」から得られた結果を用いて、リタイアメント層の生活意識を分析した。
- リタイア開始と考える年齢の全体平均は67.4歳であった。男女差はなかったが、年代別には違いがあり、年代が上がるとともにリタイア開始を遅く捉えていた。リタイア開始と考える理由は、男性は「定年退職」、女性は「公的年金受給開始」が最も多く、70歳代では比較的上位に「健康問題」があがるなど、各性年代が対峙する状況がよく表れていた。
- リタイア後に重視したいことは「健康維持」が圧倒的に多く、性別・年代で大きな違いはなかった。リタイア後の不安は性別・年代で顕著な違いがあり、男性では家族の介護をすること、女性では自分が介護をされることにより強い不安を感じていた。また、年代とともに介護をはじめとした家族の問題から死亡や認知症、社会からの脱落といった自分の問題へと移っていた。
- リタイアメントライフの生活水準は、全体では「今よりつつましい」が最も多く5割強を示し、次に「今と同じくらい」が4割強で続き、「今より豊か」はごくわずかであった。男性よりも女性の方が「今と同じくらい」の割合が多かった。また、年代が高い方が既にリタイアメントライフに入っているためか「今と同じくらい」の割合が多かった。リタイア後の生活資金としては、圧倒的に「公的年金」が期待されていたが、生活資金面の不安としても「公的年金」の減額や制度の破綻が上位を占めていた。
- 急速に進展する高齢社会では、リタイアメント層の生活の在り様が社会全体の活気へ多大な影響を与える。当該層を構成する各セグメントの不安を解消し、志向を捉えた商品やサービスを提供していくことで、低迷する日本の消費市場の活性化にもつながるのではないだろうか。
(2012年02月29日「ニッセイ景況アンケート」)
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経歴
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
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