- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 介護分野へ接近を始めた多様なロボット~イノベーションが進む福祉・介護分野のロボット~
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
・近年、製造現場で活躍する各種産業ロボットだけでなくアミューズメントや家庭用の掃除ロボット、さらに介護・福祉といった生活やサービス領域へと多様な形のロボットが徐々に普及を開始している。
・2010年6月に政府より発表された「新成長戦略」の柱の一つである「ライフ・イノベーション」の中には「医療・介護ロボット等の研究開発・実用化を促進する」と記載され、マスコミ報道などにも開発中の機器が紹介され、社会の認知度も高まってきている。
・この福祉・介護分野におけるロボットの開発の視点としては、(1)将来的な介護領域を含めた労働力不足への対策としての視点、(2)新産業創出の視点、(3)被介護者のQOLの改善と共に介護者の心身の負荷軽減としての視点、があると考える。
・経済産業省のニュースリリースによると、2010年に約1兆円強のロボット市場は、2035年には9.7兆円に拡大する潜在力を持つ。今回注目する「介護・福祉」分野の市場は「サービス分野」に含まれ、2025年で1,239億円、2035年で4,043億円と予測されている。ただ、介護・福祉分野のロボットには産業用ロボットとは異なる高い安全性やユーザビリティも要求され、普及の点ではまだ黎明期を脱していない。
・しかし、足元ではNEDOの「生活支援ロボット実用化プロジェクト」実施や安全性確保のための試験設備完成など、開発・普及に向けた取組が進展している。また、日本には「パロ」「HAL®」「マイスプーン」といった、既に欧米でその効用が認められた優秀なロボットも存在する(本文参照)。この他にも多数の企業や研究機関で介護ロボットや各種機器等の開発が進んでおり、2011年秋には大手自動車メーカーの同分野向けプロトタイプのロボットも発表され、今後中期的に本格的な展開時期を迎えることが予想される。
・今後、さらにこの動きを加速するためには、供給側の「ロボット産業」と需要側の「介護産業」との間に介護ロボット等の開発・普及促進のための最適な仕組みづくりが必要である。
(2012年01月25日「基礎研マンスリー」)
このレポートの関連カテゴリ
青山 正治
青山 正治のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2020/05/21 | 赤ちゃんの明るい笑い声の力-本物でもヒーリング・ロボでもパワーは同じ- | 青山 正治 | 研究員の眼 |
2020/05/18 | サービスロボットやICTの新たな利活用分野-防疫対策でのICTやロボット技術活用の可能性- | 青山 正治 | 研究員の眼 |
2019/09/11 | 介護ロボットの導入・活用への着実な取組-東京都の「次世代介護機器の活用支援事業」への取組 | 青山 正治 | 研究員の眼 |
2019/07/11 | 新しい放送メディアの開発と超高齢社会での活用-4K・8Kの普及やパブリックビューイングの展開を期待 | 青山 正治 | 研究員の眼 |
新着記事
-
2025年03月21日
資金循環統計(24年10-12月期)~個人金融資産は2230兆円と前年比86兆円増加も実質では前年割れ、定期預金が純流入に -
2025年03月21日
J-REIT市場の動向と収益見通し。財務負担増加が内部成長を上回り、今後5年間で▲7%減益を見込む~シナリオ別のレンジは「▲20%~+10%」となる見通し~ -
2025年03月21日
サステナビリティに関する意識と消費者行動2024(2)-消費者はなぜ動かない?エシカル消費の意識・行動ギャップを生み出す構造的要因 -
2025年03月21日
消費者物価(全国25年2月)-コアCPI上昇率は当面3%前後で推移する見通し -
2025年03月21日
米FOMC(25年3月)-市場予想通り、政策金利を2会合連続で据え置き。4月から量的引締めのペースを緩和
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【介護分野へ接近を始めた多様なロボット~イノベーションが進む福祉・介護分野のロボット~】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
介護分野へ接近を始めた多様なロボット~イノベーションが進む福祉・介護分野のロボット~のレポート Topへ