- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 拡大が続く企業部門の貯蓄超過
2012年01月13日
- 2010年度の国民経済計算によれば、企業部門(非金融法人)の貯蓄投資差額(純貸出(+)/純借入(-))は、前年度から4.4兆円増加し38.8兆円(名目GDP比8.1%)の大幅な貯蓄超過となった。
- かつては、資金不足の企業部門が家計部門の貯蓄を借り入れることにより設備投資を行っていたが、1990年代後半以降は政府の財政赤字を企業と家計の資金余剰でファイナンスする構図となっている。
- 本業で上げた利益に相当する営業余剰はバブル期の水準を大きく下回っているが、超低金利の長期化に伴う利払い費の減少を主因として、企業所得(営業余剰+財産所得(純))はバブル期を上回っている。こうした中、法人税の支払いが依然としてバブル期を大きく下回っていることが、貯蓄の増加に拍車をかけている。
- 総固定資本形成から固定資本減耗を引いた純固定資本形成は2009年度にマイナスに転じた。このことは既存の生産設備を維持できなくなったことを意味しており、国内における企業の生産能力が縮小に向かいつつあることを示唆している。
- 設備投資低迷の大きな要因とされてきた過剰債務の圧縮は一段落しているにもかかわらず、企業は設備投資に慎重な姿勢を崩していない。企業に滞留する余剰資金の有効活用が経済政策上の重要な論点と言えるだろう。
(2012年01月13日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/01/09 | 「財源がない」は本当か-「103万円の壁」引き上げを巡って | 斎藤 太郎 | 基礎研マンスリー |
2025/01/09 | 2024~2026年度経済見通し | 斎藤 太郎 | 基礎研マンスリー |
2024/12/27 | 鉱工業生産24年11月-10-12月期は2四半期ぶりの増産となるが、持ち直しのペースは緩やか | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2024/12/27 | 雇用関連統計24年11月-女性を中心に就業者の増加が続く | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2025年01月15日
貸出・マネタリー統計(24年12月)~利上げが貸出金利に波及、定期預金残高の底入れが顕著に -
2025年01月15日
景気ウォッチャー調査2024年12月~インバウンド需要は好調継続~ -
2025年01月15日
Investors Trading Trends in Japanese Stock Market:An Analysis for December 2024 -
2025年01月15日
投資部門別売買動向(24年12月)~海外投資家は買い越し、個人は売り越し~ -
2025年01月15日
アンケート調査から読み解く企業の物流戦略の現状と課題(2)~商慣行見直しやドライバー負荷軽減、共同配送、標準化、物流DXを推進する長期ビジョン・中期計画策定の社会的要請高まる
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【拡大が続く企業部門の貯蓄超過】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
拡大が続く企業部門の貯蓄超過のレポート Topへ