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超高齢社会の都市経営におけるジェロントロジー導入に向けて(2)~都市経営の事例分析~
社会研究部 土地・住宅政策室長 篠原 二三夫
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■見出し
1――はじめに
2――地方公共団体による都市経営の全体像
3――10団体の事例分析
1|各団体の一般状況及び高齢化関連の状況
2|各団体の財政面の特徴
3|各団体の決算と目的別歳出からみた特徴
4――超高齢社会における都市経営の方向性と今後の課題
5――むすびにかえて
■introduction
超高齢社会の進行と低迷する地方経済、市町村合併の負担等に苦しみながら、各地方公共団体は、一般市民と共に高齢者が豊かな老後を過ごせるように様々な都市経営策を講じている。しかし、2004年から2008年の間に、総合的な行政サービスと高齢者福祉水準の双方を維持もしくは伸ばすことができたのは、調査対象544団体のうち以下の10団体だけである。これらの都市経営の実態は一律ではなく多様である。
花巻市(人口10万、高齢化率28.5%)の高齢者福祉水準の伸びは10団体中最も高い。黒部市(同4.2万、26.5%)は広域連携による介護保険組合のメリットを活かし在宅福祉を推進している。勝山市(同2.5万、30.4%)は健康で活動的に暮らせる「健康寿命」の実績を更新しつつある。これら3団体の財政の現状はいずれも健全な範囲にあるが、今後も維持可能かが重要課題である。高知市(同34.3万、23.3%)は、四国第3位の人口規模を有するものの、財政危機に直面し再生途上にある。札幌市(同191万、20.5%)の高齢福祉水準は人口50万以上の都市群では第1位だが、財政の圧縮が課題である。
成田市(同13万、17.6%)は成田空港の開港とともに拠点性を高め、高齢者福祉水準も高い。清瀬市(同7.4万、24.8%)には医療施設や福祉施設が多数立地し、高齢化率は高いが、同時に医療・福祉自体が都市経営の基盤を担っている。厚木市(同22.4万、17.9%)および和光市(同8万、14.1%)は共にベッドタウンで、要介護(要支援)認定者数は第1号被保険者数の各々12.2%および10.3%と低めである。千代田区(同4.7万、19.2%)は東京圏の業務機能中心地であり、広域性をもった病院や福祉施設が集中している。これら首都圏の団体では地方圏よりも比較的財政的に安定した経営が維持されているが、長期的な財政悪化懸念から、歳出の圧縮や企業的経営の導入等が進められている。
都市経営におけるジェロントロジー導入の具体的なイメージの研究には、さらに時間軸や市政担当者の声を含めたより詳細な都市経営の事例分析が必要である。特に(1)都市経営における持続性の確保の手段が重要であり、具体的には、(2)長期安定収入の確保、(3)民間資金や民間による効率的な経営の導入、(4)都市経営の目標設定とモニタリング、(5)市町村合併の検証、(6)都市経営のジェロントロジーに向けた民生費歳出や事業内容の検討、(7)目的別歳出費目相互のバランス・最適化の検討、(8)大都市圏から地方圏における位置づけ、都市特性と都市機能に応じた検討-が今後の課題である。
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03-3512-1791
(2012年01月13日「ジェロントロジーレポート」)
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