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- アジア新興国・地域の経済見通し~成長が鈍化する国、ディカップリングできる国
2011年12月22日
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- 2011年のアジア新興国・地域における課題は、前半は蔓延するインフレを抑制することであった。後半はインフレが落ち着きを見せる一方で、先進国の成長鈍化によってアジア新興国・地域に悪影響が波及するという新たな問題に直面することとなった。
- 先進国の成長鈍化は、輸出の減少を通じてアジア新興国・地域の実体経済に影響を与える。また、金融市場から資金が引き揚げられれば、短期的に株価や為替が下落する。実際、8月以降、多くの新興国ではこの2つの影響が見られた。
- 先進国の新興国への投資余力が不足すれば、短期的な資金だけでなく、工場設立やインフラ整備など長期的な投資資金も縮小する可能性がある。ただし、この長期的な資金に関しては、現段階で目立った縮小は見られていない。
- タイでは大規模な洪水が発生した。サプライチェーンの重要な一画であるタイでの生産縮小は、域内の成長阻害要因となる。しかし、タイの経済規模が比較的小さいこと、タイ以外のアジア新興国・地域にとっては供給制約の問題であり、代替生産などの対応策により悪影響を軽減することが可能であることなどから、洪水がアジア域内にもたらす被害は限定的であると考えられる。
- 韓国や台湾など外需主導の国・地域においては先進国の成長鈍化によって輸出が減少するため、高成長は期待できない。この輸出減少の圧力は、燃料や一次産品を主に輸出している資源国よりも、先進国向けの工業製品を輸出している国で大きい。
- インドネシアのように内需が強い国は、海外経済が低迷していても高成長を実現させることが可能である。ただし、内需が強い国においても、高成長を維持するためには官民連携でのインフラ整備など、投資を活性化させることが必要である。
(2011年12月22日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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