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- 止まらないユーロ圏の危機の飛び火:包括策の実行、さらに踏み込んだ対策も必要
2011年11月18日
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- 「ギリシャ、イタリアの政策実行の意思と能力への不安の拡大」と「EFSFの能力強化の遅れ」が、ユーロ圏首脳会議での包括策合意後に危機が拡大した原因だ。
- ギリシャ、イタリアの経済に精通した親ユーロ派のテクノクラートが率いる暫定政権の発足は好材料だが、新首相の政治的な手腕や総選挙後の政策の継続性の見極めが必要だ。
- EFSFは新たな機能の運用指針こそ固まったが、レバレッジ化による救済能力引き上げの成果は不透明で、現時点ではEFSFは「防火壁」機能を果たせないままだ。
- EUの基本条約の救済禁止条項や物価安定という使命との兼ね合いで「政府に対する最後の貸し手」となることを明言できないECBの国債買い入れ頼みの状況を改めなければ、不安が不安を呼ぶ悪循環は続く。
- ユーロ圏が深刻な景気後退を回避、世界的悪影響の拡大を抑えるためにも、フランスばかりでなく、中小の財政健全国にも及び始めた圧力(下図)が、域内における危機意識の共有化を促し、包括策の早期実現とより踏み込んだ措置につながることを期待したい。

(2011年11月18日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2015~2024年度 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017~2024年度 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022~2024年度 Discuss Japan編集委員
・ 2022年5月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
・ 2024年10月~ 雑誌『外交』編集委員
・ 2025年5月~ 経団連総合政策研究所特任研究主幹
伊藤 さゆりのレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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