2011年10月27日

ユーロ圏首脳会議:ユーロ危機対応の包括策で合意

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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■見出し

・ギリシャ政府の債務再編、EFSFの救済能力拡充、銀行システム対策で合意
・一気に危機を終結させる力強さはないものの、包括策の形を整えた点は評価

■introduction

10月26日から27日未明にかけて開催されたEU、ユーロ圏首脳会議で、ユーロ圏の債務危機への包括策の概要がまとまった。(1)ギリシャの債務再編は、7月のユーロ圏首脳会議での合意と同じ「自発的」な債務交換という形を維持しつつ、民間投資家の負担割合を21%から50%に引き上げ、(2)EFSFのレバレッジ化では新発債への損失補償と官民資金を動員するための特別目的会社(SPC)の2方式を採用、(3)銀行システム対策では2012年までに狭義の中核的自己資本比率9%の達成を求めることになった。
今回の対策には一気に危機を終結させる力強さはないが、財政-金融-景気の悪循環に歯止めを掛けるべく3本柱の対策を揃って打ち出した点は積極的に評価できるだろう。今後、民間銀行との交渉を急ぐとともに、G20など域外諸国の協力も仰ぎつつ、各国レベル、ユーロ圏レベルでの努力が重ねられることを期待したい。

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経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴
  • ・ 1987年 日本興業銀行入行
    ・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
    ・ 2023年7月から現職

    ・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
    ・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
    ・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
    ・ 2017年度~ 日本EU学会理事
    ・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
    ・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
               「欧州政策パネル」メンバー
    ・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
    ・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
    ・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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