- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融政策 >
- 金融市場の動き(10月号)~通貨のバランスが急変化、米ドルに警戒を
2011年10月07日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
- (危機時のドル高) 実効レート通貨の総合力を示す実効レートでは、円は引き続き上昇トレンドにあるが、低迷ぎみであった米ドルが9月入りを境として上昇に転じ、通貨のパワーバランスに変化が生じている。ただし、この米ドル高は米国の景気回復(期待)に裏づけられているとは言い難く、「危機時のドル需要」が発生している可能性が高い。リーマン・ショックの際もドルの実効レートは急騰し、その後危機が緩和されるとともに下落に転じた。従って、ドルの先行きも「危機が収まるか」に強く影響を受ける。従来円と同様に資金の逃避先となっていたスイスフランは現在その役割から離脱している。危機が収まればドルの放出が起き、円に資金が流入する懸念がある。このシナリオが実現するかどうかについては、その際の米国経済に今よりも明るい兆しが見えているかがカギを握る。
- (日米欧金融政策) 9月に、FRBがツイスト・オペによる追加緩和を実施。日銀、ECBは9月以降金融政策を維持しているが、日米欧ともに最近の世界的な金融市場の動揺、株安を受けて危機感を高めている様子が鮮明に。日米については市場の利上げ期待がほぼ消滅、欧州については利下げ期待が高まっている。
- (金融市場の動き) 9月の金融市場では引き続きリスク回避の動きが進行し、世界的に株価が続落、円は高止まりし、債券(国内)はやや上昇した。欧州の財政・金融システム不安と米国の景気低迷感は当面払拭されず、リスク回避姿勢が強い状態が続く可能性が高い。円高、債券高圧力が続くだろう。

(2011年10月07日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/07/09 | 貸出・マネタリー統計(25年6月)~銀行貸出の伸びが回復、マネタリーベースは前年割れが定着 | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
2025/07/08 | ドル円の膠着はいつまで?~ドル安でも円安是正は足踏み | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/07/01 | 日銀短観(6月調査)~トランプ関税の悪影響は今のところ限定的だが、早期の利上げには直結せず | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/06/27 | 資金循環統計(25年1-3月期)~個人金融資産は2195兆円と伸びが大きく鈍化、家計のリスク資産投資は加速 | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年07月11日
トランプ関税の日本経済への波及経路-実質GDPよりも実質GDIの悪化に注意 -
2025年07月10日
企業物価指数2025年6月~ガソリン補助金の影響などで、国内企業物価は前年比3%を割り込む~ -
2025年07月10日
ドイツの生命保険監督を巡る動向(2)-BaFinの2024年Annual ReportやGDVの公表資料からの抜粋報告(生命保険会社等の監督及び業績等の状況)- -
2025年07月09日
バランスシート調整の日中比較(後編)-不良債権処理で後手に回った日本と先手を打ってきた中国 -
2025年07月09日
貸出・マネタリー統計(25年6月)~銀行貸出の伸びが回復、マネタリーベースは前年割れが定着
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【金融市場の動き(10月号)~通貨のバランスが急変化、米ドルに警戒を】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
金融市場の動き(10月号)~通貨のバランスが急変化、米ドルに警戒をのレポート Topへ