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米債務上限法合意、市場は円安、株高に振れる:米債格下げリスク、雇用回復のスピード感なし、ドル安材料山積は変わらず
総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次
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■見出し
・米債務上限法案成立 : 大人の対応、2008年の悪夢再来は一応回避
・日本政府の対応:長期的なドル安に拍車、短期の政策対応とともに企業の空洞化対応なども
■introduction
8月2日にデットラインとなっていた「米債務上限法」は、米国議会で合意され、実質的な債務不履行の事態は避けられた。
思い起こせば「100年に一度の危機」は、2008年9月の「リーマン・ショック」をきっかけに広がったが、そのダメ押し役になったのは「米議会ショック」だった。約半月後、米国の下院議会は「金融救済法(TARP)」の法案をまさかの否決、事態の悪化に拍車をかけた。その悪夢再来は、今回「大人の対応」でなんとか回避された。
合意は「債務上限を引き上げるのと引き換えに、当初1兆ドルの財政赤字を削減し、超党派委員会で今秋に追加の赤字削減計画をまとめる」との内容のようだ。
しかし、来年選挙を控え、政策の根幹をなす歳出削減に対しては、もめないわけはない。将来に対する歳出削減の実現性は今回の両党の合意では保障されておらず、今後も格下げのリスクはくすぶり続ける。
また米国の雇用などマクロ改善の足取りも遅く、引き続きドル安材料は山積しつづけるだろう。
法案が通らないという最悪の事態は回避できたことで、日本市場では金曜日に比べ、円安、株高が進んだが、戻りが鈍いのも先行き米国経済・財政・金融がかかえる問題の不安が、今回の債務上限引き上げ合意で解決するわけではないという見方が支配しているためだろう。
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