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- 欧州経済見通し~周辺国の債務問題対応を促すECBの利上げ示唆~
2011年03月11日
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- ユーロ圏は全体で見ると景気の回復過程が続いているが、ドイツなど中核国と周辺国との二極化傾向が鮮明で、周辺国の債務問題を巡る緊張が続いている。
- 欧州中央銀行(ECB)が4月利上げの方針を示唆したのは、原油高で従来の想定よりも物価の上振れ幅が大きく、且つ、長引く見通しとなり、好況のドイツだけでなく、周辺国も含めて価格や賃金の引き上げを通じた「二次的影響」を牽制する必要が生じたことによる。底流には労働市場の硬直性という欧州大陸固有の事情がある。
- 原油価格が4~6月にピークアウトする前提では、ECBの2011年内の利上げは2回、2011年の年間成長率は1.6%という緩やかな拡大が続き、インフレ率も「安定水準」に収束して行くと考えられる。原油価格上昇の幅と持続期間と新興国への影響、何よりもユーロ圏周辺国の債務問題への対応の巧拙が見通しを大きく左右する要因である。ECBの利上げ示唆は周辺国の債務問題解決に向けた政治的決断を促す圧力にもなろう。

(2011年03月11日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2015~2024年度 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017~2024年度 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022~2024年度 Discuss Japan編集委員
・ 2022年5月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
・ 2024年10月~ 雑誌『外交』編集委員
・ 2025年5月~ 経団連総合政策研究所特任研究主幹
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