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1月下旬、日本政府観光局(JNTO)は2010年の訪日外客数(推計値)を861万2千人(前年比26.8%増)と発表した。過去最高の2008年の835万1千人を26万1千人上回った。2009年は新型インフルエンザの流行や景気低迷で訪日客が減少したが、2010年には中国、韓国、台湾さらにタイ、シンガポール、マレーシアなどの東南アジアからの訪日客が軒並み2桁増となった。この背景にはアジアの好調な経済成長のほか、10月からの羽田空港の新滑走路完成による国際定期便就航などがプラス要因として寄与している。このほか、近年多数登場したLCC(ローコスト・キャリア)と呼ばれる格安航空会社のプラス効果も期待されるところである。LCCは、国内の地方空港へ直接乗り入れるなど、様々なバリエーションを持ち、アジア地域を含めた、海外旅行の客層を拡げる期待が持たれている。
さて、訪日観光客1,000万人の大台を目指し、政府の広報活動や旅行会社の企画開発に力が入っているところであるが、日本国内の外国人旅行客の受け入れ態勢の一層の強化も重要である。都市部では交通機関の案内板や規模の大きな小売店舗での、英語、中国語、韓国語併記があたり前となっている。地方都市でも多言語の観光マップが準備され、多言語に対応可能なスタッフ配置が進み、1~2年前に比べれば対応は大きく進んできている。さらに今後、中長期的に重要なことは、新規の海外からの旅行者を増やすことと共に、リピーターを増やすことが重要であろう。このためには、国内の様々な観光資源の発掘がさらに必要である。1回目の訪日観光がリピート需要を引き起こすための仕組み作りが肝要である。この点では有形無形の密度の高い日本文化の資源化とそれらの意味、背景、歴史を外国人観光客に適確に伝えるノウハウ蓄積が重要であろう。またそれは、日本文化の再発見と再構築にも大きな活力を与えよう。
(2011年02月25日「基礎研マンスリー」)
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