2011年02月10日

消費者物価指数基準改定の影響試算~▲0.6ポイントの下方改定を予想

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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  1. 消費者物価指数は、本年8月に基準改定(2005年基準→2010年基準)が実施される。
  2. 現時点で判明している情報をもとに基準改定の影響を試算したところ、2010年基準のコアCPI上昇率(生鮮食品を除く総合)は2005年基準から▲0.6ポイント(2011年4~6月の平均値)低下し、前回の基準改定(▲0.5ポイント程度)を若干上回る下方改定幅になるという結果が得られた。
  3. 下方改定の要因を見ると、(1)指数水準のリセットが▲0.40ポイント、(2)ウェイトの変更が▲0.15ポイント、(3)品目の入替えが▲0.06ポイントとなっている。
  4. 2005年基準のコアCPIは2011年4月以降、いったん前年比でプラスに転じることが予想されるが、2010年基準への切替えが実施される7月(8/26公表予定)には再びマイナスとなる可能性が高い。
  5. 今回の基準改定では、高校授業料の無償化といった政府の施策による影響をどのように取り扱うかが注目点のひとつである。従来の方法を踏襲すれば、高校授業料無償化の影響を主因として2011年1~3月のコアCPI上昇率の下方改定幅は▲1.1ポイントと極めて大きなものになると試算される。高校授業料無償化の影響で時系列データに大きな断層が生じることを避けるため、何らかの対応がなされる可能性が高いだろう。


消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)基準改定による改定幅の推移

(2011年02月10日「Weekly エコノミスト・レター」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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