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- 1月日銀決定会合:先行き見通しを上方修正、日銀回復シナリオに自信を深める
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■introduction
日銀は24-25日に金融政策決定会合を開き、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0-0.1%程度に据え置き(全員一致)、総額35兆円の基金創設による各種金融資産買い入れにも変更はなかった。
現状の景気判断については、「緩やかに回復しつつあるものの、改善の動きに一服感が見られる」と先月同様となった。
先行きについては「景気改善テンポの鈍化した状況から徐々に脱し、緩やかな回復経路に復していくとみられる」と、先月の「景気改善テンポの鈍化した状況がしばらく続く」から上方修正した。
リスク要因については新興国・資源国経済の上振れを指摘した。下振れについては「米国経済に対する懸念は一頃に比べて後退しているものの、米欧経済の先行きや国際金融市場の動向を巡る不確実性がある」と指摘している。
昨年10月にまとめた「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の中間評価も実施された。2010年度の成長率は、過去の実績値の改定の影響もあって上振れるものの、2011年度、2012年度の成長率は、概ね見通しに沿って推移する」と評価した。また物価については、「国内企業物価・消費者物価(除く生鮮食品)とも、2011年度は、国際商品市況高の影響などから、やや上振れるとみられる一方、2012年度は概ね見通しに沿って推移する」とした。
今回日銀は先行きの見通しを上方修正し、回復シナリオの蓋然性に自信を深めている。今後の金融政策は、円高リスクが実現しない限り、現状維持が基本スタンスだろう。
しかし、海外経済・金融の不確実性が高い状況に変わりはない。また政治との関係では、(1)3月に交代が予定されている須田審議委員、6月には野田審議委員の後任人事、(2)政局混迷の中で追加緩和圧力(または日銀法改正なども)などの問題がでてくることも予想される。8月のCPIの基準改定で改定幅が大きければ当然デフレ議論が強まることも大いに予想され、今回先行きの見通しを上方修正したからといって、今後追加緩和見送りという一方向に議論が流れないことも十分ある。
(2011年01月25日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1837
- ・ 1992年 :日本生命保険相互会社
・ 1995年 :ニッセイ基礎研究所へ
・ 2021年から現職
・ 早稲田大学・政治経済学部(2004年度~2006年度・2008年度)、上智大学・経済学部(2006年度~2014年度)非常勤講師を兼務
・ 2015年 参議院予算委員会調査室 客員調査員
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