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■目次
1--------新築住宅に対する固定資産税の特例廃止の動き
2--------家屋に加えて土地も含めた固定資産税増税への動き、そもそも本則とは何か
3--------納税者の声はどこに、地域主権論への唐突なすり替え
4--------固定資産税収の実効税率は上昇、さらなる増税と混乱を生みかねない地域主権論の危うさ
■introduction
新築住宅の固定資産税を2分の1に軽減する特例措置は、昭和25年の創設(昭和39年に法制化)以来、幾度も延長され60年間にわたり存続してきた。しかし、総務省は、税費用として1,540億円(平成20年度)を必要とする同制度の住宅建設促進効果は既に失われたとし、税制調査会に対し廃止に向けた検討を促してきた。その理由として、平成21年10月の調査で新築特例を受ける予定である納税者の54%がこの特例の存在を知らず、92%はこの特例が住宅を新築(購入)するきっかけにはならなかったと回答したというのである。
しかし、建設促進効果を固定資産税の特例に押し付けたような総務省の調査結果は、いかにも恣意的である。昨年の新築需要は低水準であったし、住宅建設を促す主要因は、新規の世帯形成・移転・建て替えによる需要増や住宅購入資金の円滑な確保などである。消費者はローン減税やその他支援措置を考慮し、住宅建設や購入を決めるのが普通である。
一方、国土交通省は、この措置は長年の継続の結果、特例ではなく本則として国民に認識されていること、住宅取得時の負担は一次取得者を中心に依然として大きいこと、耐震性などの面でリスクがある住宅ストックの更新を推進する必要があるとして、特例措置の継続を要望している。同省によると、住宅展示場の来場者への調査では、この措置が廃止された場合、78%は購入を見直すか予算を減額すると回答している。全く影響はないとする人はその他も含め22%程度である。現在の住宅政策は長期優良住宅など住宅資産の質的向上を目指しており、総務省による住宅家屋の特例廃止への動きは明らかな政策の矛盾である。
(2011年01月24日「基礎研マンスリー」)

03-3512-1791
- 【職歴】
1975年 丸紅(株)入社
1990年 (株)ニッセイ基礎研究所入社 都市開発部(99年より社会研究部門)
2001年より現職
【加入団体等】
・日本都市計画学会(1991年‐) ・武蔵野NPOネットワーク役員
・日本不動産学会(1996年‐) ・首都圏定期借地借家件推進機構会員
・日本テレワーク学会 顧問(2001年‐)
・市民まちづくり会議・むさしの 理事長(2005年4月‐)
・日米Urban Land Institute 国際会員(1999年‐)
・米国American Real Estate Finance and Economics Association国際会員(2000年‐)
・米国National Association of Real Estate Investment Trust国際会員(1999年‐)
・英国Association of Mortgage Intermediaries準国際会員待遇(2004年‐)
・米国American Planning Association国際会員(2004年‐)
・米国Pension Real Estate Association正会員(2005年‐)
篠原 二三夫のレポート
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