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米国の生命保険市場の規模(個人・団体の収入保険料合計)は、再保険会社スイス・リーの調べによると2009年現在で、4,923億ドルと世界最大である。米国以下は、日本(3,991億ドル)、英国(2,177億ドル)、フランス(1,941億ドル)、イタリア(1,153億ドル)、ドイツ(1,118億ドル)の順となっている。
このような中、主力の個人保険分野を見ると、図表(本文中)のとおりで、1980年時点では生保のシェアが71%で、これに対して年金が14%という商品構成であったところ、直近の2009年には生保が33%まで低下する一方、年金は43%までシェアを伸ばしている。すなわち、この約30年間で米国生保会社は「生保」から「年金」へと商品構成が大きく変貌した。
さらに、この個人年金の内容を代表的なリサーチ機関であるリムラ(LIMRA)調査で見ると、1985年当時個人年金の内訳は、定額年金が83%、変額年金が17%であったのに対して2009年は、定額年金が47%に低下する一方、変額年金は53%へとウェートを高めている。2009年は2008年に発生した金融危機の影響を受けて、変額年金が2007年の72%よりも大きくウェートを下げているが、なお変額年金の存在感は大きいものがある。
このような米国個人年金の急成長は、高齢化が徐々に進展する中において、(1)老後資産確保のための長期的・効率的な準備手段としての認識が高まったこと、(2)税制上のメリットが評価されたこと(課税繰り延べ効果等)、(3)1990年代以降の株式相場の堅調さが支援要因となったこと等が考えられる。もちろん、生保会社の積極的な商品開発(変額年金に対する元本保証要素の導入等)も成長の要因となっているものと考えられる。
米国ではさらに高齢化が進み、老後資産の確保に対するニーズが高まるものと予想されることから、生保会社の個人年金には引き続きその役割発揮が期待されているものと思われる。
(2010年12月24日「基礎研マンスリー」)
小松原 章
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