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- 2011年度予算の展望~形骸化する中期財政フレーム
2010年10月08日
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- 2011年度の一般会計における概算要求総額は96兆7465億円と、過去最大となった。(1)国債残高の増加を受けて国債の利払い費や償還費が増加したこと(2)年金・医療等に係る経費の自然増分(1兆2500億円)(3)特別枠要望額が特別枠要望基礎枠を大きく上回ったことなどが概算要求額を押し上げた。
- 2011年度予算において、概算要求や予算編成は中期財政フレームに基づいて行われており、基礎的財政収支対象経費を71兆円以下に抑制すること、新規国債発行額を前年度水準(44.3兆円)以下に抑制することが定められている。この枠組みを遵守することは、財政再建に対する政府の本気度を示す意味で重要であり、2011年度当初予算において、政府は何としてでもこの枠組みを遵守するものと思われる。
- 2011年度当初予算における基礎的財政収支対象経費については、特別枠要望額に挙げられている項目が2010年度補正予算に前倒しされることなどから71兆円以下に抑制される公算が大きい。国債費についても当初予算編成過程において縮減する公算が大きい。
- 公債金収入を44.3兆円以下へ抑制するためには5.4兆円程度の税外収入の確保を要するものと思われるが、埋蔵金発掘作業が一筋縄ではいかないことから、税外収入の確保は困難なものとなろう。そのため、当初予算の歳出項目にあがっているものの一部を2011年度補正予算に後ろ倒しし、追加公債発行を行うなど、あの手この手を用いて達成されるものと思われ、中期財政フレームは導入1年目から形骸化することとなろう。
(2010年10月08日「Weekly エコノミスト・レター」)
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