2010年09月08日

8月マネー統計:投資信託の伸びが失速し始める

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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■見出し

・貸出動向: 大・中堅企業向けの減少幅が拡大傾向
・マネタリーベース: 高水準の資金供給が続く
・マネーストック: 投資信託の伸びが失速

■introduction

日銀が発表した貸出・資金吸収動向等によると、8月の銀行総貸出(平残)の前年比伸び率は▲2.1%と、9ヶ月連続の前年割れとなった(前月は同▲1.9%)。地銀(第2地銀含む)はわずかながら増加(前年比0.2%増)しているが、都銀等(同▲3.9%)では大幅なマイナスが続いている。
7月段階の貸出先で見ると、企業規模を問わず減少が続いているが、特に大・中堅企業向け(同▲7.2%)の減少幅拡大に歯止めがかかっていない(図表1~5)。
日銀による「成長基盤強化を支援するための資金供給」(研究開発や環境などの分野への投融資に取り組む金融機関に対して、日銀が年0.1%の低利で資金を供給するもの)の第一回目が今月実施され、4625億円の資金供給が行われた。
今回対象となったのは、47金融機関の投融資1342件4788億円。1件当り平均金額は3.6億円、平均期間は8.2年であった。対象投融資の分野別状況は図表6のとおり。環境・エネルギー分野(1124億円)が最大で、以下、日銀例示の18分野以外(975億円)、社会インフラ(554億円)と続いている。今後も3カ月に1回の頻度で新規資金供給が行われる予定であり、銀行貸出残高を押し上げることになるが、これだけでは力不足(この一年で銀行貸出は▲8兆円)。日銀が期待するように、この制度が「呼び水」となれるのかどうかがカギとなる。

(2010年09月08日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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