2010年08月31日

鉱工業生産10年7月~踏ん張りを見せる生産活動

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・7月の生産は市場予想を上回りプラスに
・9月までは増産計画

■introduction

経済産業省が8月31日に公表した鉱工業指数によると、7月の鉱工業生産指数は前月比0.3%と2ヵ月ぶりに上昇し、事前の市場予想(ロイター集計:前月比▲0.2%、当社予想は同0.1%)を上回った。出荷指数は前月比▲0.1%と2ヵ月ぶりの低下、在庫指数は前月比▲0.5%と4ヵ月ぶりの低下となった。
7月の生産を業種別に見ると、このところ在庫積み上がりの動きが見られる情報通信機械、電子部品・デバイス、輸送機械が前月に続き低下(それぞれ前月比▲0.9%、▲0.5%、▲1.5%)するなど、速報段階で公表される16業種中、10業種が前月比で低下(上昇は5業種、横ばいが1業種)したが、設備投資の持ち直しを反映し一般機械が前月比4.3%の高い伸びとなったことなどから、全体ではかろうじて前月比プラスを確保した。
在庫指数は全体では4ヵ月ぶりに低下したが、一部の業種では在庫が大きく積み上がっている。特に在庫の積み上がり幅が大きいのは液晶テレビ、DVD-ビデオなどが含まれる情報通信機械で、7月の在庫指数は前年比90.7%の急上昇となった。また、電子部品・デバイスの出荷・在庫バランス(出荷・前年比-在庫・前年比)は09年5月以来、14ヶ月ぶりに悪化に転じた。IT関連財については当面在庫調整圧力の強い状態が続くことが見込まれる。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷(除く輸送機械)は1-3月期の前期比14.3%、4-6月期の同7.4%の後、7月は前月比0.1%となった。7月単月ではほぼ横ばいにとどまったが、7月の水準を4-6月期と比べると3.1%高い水準にある。GDP統計の設備投資は09年10-12月期以降、3四半期連続で増加しているが、7-9月期も増勢が維持される可能性が高い。ただし、資本財の高い伸びには好調な輸出の影響が含まれているため、国内の設備投資動向を考える上では、その部分を割り引いてみる必要がある。
消費財出荷指数は1-3月期の前期比2.4%、4-6月期の同1.6%の後、7月は前月比1.0%となった。耐久財が前月比0.5%、非耐久財が同1.9%とともに上昇した。
耐久消費財は政策効果一巡に伴い4-6月期には前期比▲1.7%と5四半期ぶりに低下したが、エコカー補助金終了前の自動車の駆け込み需要の影響もあり、7-9月期は再び上昇に転じる可能性が高い。GDPベースの個人消費は、4-6月期は前期比0.0%の横ばいにとどまったが、7-9月期は比較的高い伸びとなることが予想される。

(2010年08月31日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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