2010年07月27日

EUのストレステスト:想定甘いとの批判はあるが、前回比では透明性が格段に向上

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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■見出し

・資本不足行は対象91行中7行
・ストレス・シナリオの想定や国債のリスクの取扱い、自己資本の基準には批判も
・第1回のストレステストに比べて大きく前進
・但し、財政と経済構造に問題を抱える事実は変らず、域内スプレッド縮小、ユーロ持ち直しも限定的

■introduction

7月23日に公表されたEUのストレステストは、対象91行のうち7行が不合格で資本不足額は35億ユーロという事前観測を下回る結果に終わった。
2009年5月の米国のストレステスト結果後と同様に、「ストレス・シナリオ」の甘さが指摘されているほか、国債のデフォルト・リスクを想定外としたことや、充足すべき自己資本の基準に対する批判などはある。それでも第1回のテストに比べると内容は大きく改善しており、金融システムへの不安の緩和、透明性の向上にある程度寄与するものと評価できよう。
但し、ストレステストの結果は、財政や経済構造に問題を抱える事実を変えるものではないため、市場の反発力は限定的なものに留まるだろう。

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経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴
  • ・ 1987年 日本興業銀行入行
    ・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
    ・ 2023年7月から現職

    ・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
    ・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
    ・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
    ・ 2017年度~ 日本EU学会理事
    ・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
    ・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
               「欧州政策パネル」メンバー
    ・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
    ・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
    ・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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