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景気が持ち直し傾向を強めているが、賃貸オフィス市場では、全国的に平均空室率の上昇と新規募集賃料の低下が止まらない(2010年3月末現在)。東京(都区部)、大阪、名古屋の3大都市をみると、名古屋は06年、東京と大阪は07年を底に空室率は上昇に転じ、直近の水準はいずれも98年以来最高の水準となっている。
特に名古屋の上昇傾向は著しい。98年には大阪より低く東京と同水準で、変動も小さかったが、07年以降、3大都市で最も高い水準で推移している。これは、05年の名古屋万博と中部国際空港開港、06年のトヨタの大型ビル竣工で起きた「名古屋ブーム」とその後の不動産ファンドブームを背景に、期待先行でオフィスビル供給が大幅に増加した反面、景気後退や金融危機などで需要が伸び悩んだためである。
大阪は、景気拡張局面であった06年に新規供給がほとんどなかったことと、都心部での大規模な建替え計画で取り壊し予定のビルからの移転需要が顕在化したことから、07年の需給は最もタイトとなった。しかし、景気後退と不動産ファンドなどが計画したオフィスビルの竣工が08年、09年に集中したことで空室率は急上昇した。
各都市とも、空室率の上昇幅は08年、09年と比較すると小さくなっており、景気の穏やかな回復基調と相まってピークが近いという見方もできるが、貸室面積に占める今後3年間の供給割合が高い東京と大阪では、市況悪化の懸念もある。特に、市場の厚みと広がりのある首都東京に比べ、支店経済で需要の盛り上がりに欠ける大阪の長期低迷も予想され、名古屋と大阪の空室率が再び逆転する可能性もある。
(2010年05月24日「基礎研マンスリー」)
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