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- 失業率の上昇を抑制した雇用対策の功罪
2010年02月26日
- 失業率は一時的に過去最悪を突破したが、景気の急速な悪化からすれば上昇は限定的にとどまっている。これは、雇用調整助成金の拡充を中心とした雇用対策の効果によるものと考えられる。
- 労働力調査のフローデータによれば、毎月の就業から失業への確率(失業確率)は2008年末頃から急上昇しているが、過去最悪の水準までは達していない。一方、失業から就業への確率(就業確率)はこのところ急速に低下しており、足もとの水準は過去最低となっている。
- 景気の急速な悪化に伴い、企業の雇用吸収力は大きく落ち込んだが、雇用対策の効果から新たな失業の発生が抑えられており、このことが今回の失業率の上昇を限定的なものにとどめる一因になっている。
- 雇用調整助成金の拡充が失業率の急上昇に歯止めをかけたことは確かだが、その一方でこの制度への依存が企業内失業の温存にもつながっている。
- 特に、生産活動の水準がピーク時の8割程度までしか戻っていない製造業では、生産水準に見合わない過剰雇用を抱えているため、雇用が本格回復に向かうまでには時間がかかるだろう。失業率は当面5%程度で高止まりが続く可能性が高い。
(2010年02月26日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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