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企業再生に思う
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景気低迷の中で、企業経営には逆風が吹いている。デフレ経済の流れにビジネスチャンスを見出すことができた一部の企業を除けば、多くの企業が業績悪化に見舞われ、希望退職募集に予想外の人数が応募したといったニュースも珍しくなくなった。
他方、企業が将来に向けての存続を賭けて思い切った戦略を実行する例も見られる。例えば、2009年の上場廃止企業は160社を上回り、戦後最多の水準になったが、上場廃止理由を見ると約4割が「完全子会社化」、約3割が「株式の全部取得」となっている。これを見ると、事業分野の選択と集中のなかで企業グループ内での構成会社の見直し、あるいは、株主の「総取替え」を通じた経営権の移転などが行われたことが窺われる。
ところで、株主の「総取替え」は、企業再生の過程でよく出てくる事象だ。我々が目にする企業再生は、立ち行かなくなった企業のバランスシート再生のイメージが強い。過剰な資産を売却し、債務免除や新たな資本注入を行うといった一連の処方箋によるもので、その効果はバランスシートの劇的改善の形で出てくる。もし、この段階で買いたいという別の投資家が出てくれば、転売してキャピタルゲインを稼ぐ「株式のディール」のイメージが強くなる。
バランスシートの改善は、ある程度「力技」でできるとしても、ここで心配になるのは企業のビジネスモデルや組織風土といった部分だ。もし、この部分が傷んでいなければ、前述のバランスシート再生で企業が再度活力を取り戻してゆく可能性は大いにあろう。
しかし、バランスシートが毀損した根本原因が、ビジネスモデルや組織風土が事業環境の変化のなかで通用しなくなっているところにあるならば、バランスシートを一時期だけ取り繕ってみても効果の持続性は期待できない。
もちろん、バランスシート再生に主眼があるように見える再生案件とはいえ、記述された再生戦略を見ると、ビジネスモデルの改善や新たな人材投入といった一連の戦略が提示されている例は少なくない。しかし、中には添え物的な位置付けとしか見えないものもある。
業績不振の原因が本業や組織風土の部分にある企業の建て直しの場合、バランスシートの再生はビジネスモデルや組織の再生をするための時間を稼ぐ応急措置の色彩が強い。運良く、支援企業を見つけてM&Aに持ち込めたとしても、これをもって企業再生完了とはいえず、あくまでも出発点ということになろう。
ここから、機能しなくなったビジネスモデルの再生、さらには事業環境の変化について行けなかった、あるいは、変化への対応に背を向けてきた組織風土の再生の道程が始まるのだ。
(2010年02月24日「基礎研マンスリー」)
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