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- 消費低迷をもたらす世帯主収入の減少
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総務省統計局が公表している「家計調査」(2008年平均)によれば、二人以上の勤労者世帯の2008年の消費支出は323,914円となり、前年(322,840円)に比べ名目で0.5%増加した。実収入が1.0%増加し、所得税などの非消費支出の影響を除いた可処分所得でも0.1%増加したことに加え、可処分所得の中から消費に使われた割合を示す消費性向も0.3%ポイント上昇したことが要因である。一方、これまで落ち着いていた物価が上昇したため、物価上昇の要因を取り除いた実質では消費支出は1.1%減少した。
家計の消費支出は長期的にみても低迷が続いており、2008年の実質消費支出は1998年に比べ、6.5%も減少している。この間に消費者物価は2%低下しており、物価は長期的にみると、実質消費を増加させる方向に寄与してきた。
実質消費支出の減少要因を、可処分所得、物価、消費性向の3つに分解すると、消費性向が2.8%、物価が2.0%消費を増加させる方向に寄与している。一方、可処分所得は、消費を10.9%減少させる方向に寄与しており、実質消費支出の減少には可処分所得の減少が大きく影響している。近年、公的年金や健康保険などの社会保険料負担や税金といった非消費支出の増加が家計の消費を圧迫していることが懸念されているが、2008年は91,374円で、1998年の93,029円から減少している。非消費支出が実質
消費に与える影響は、この10年においては軽微であった。また、可処分所得要因のうち、世帯主収入要因がその大部分の9.2%を占めることから、消費の減少をもたらしてきたのは、世帯主収入の減少であったことが分かる。
2009年度の春闘においても、大手企業が相次いで定昇を見送るなど、今後、賃金の上昇が見込めないことに加え、ボーナスも減少することを鑑みれば、世帯主収入の減少が予想され、一層の消費の低迷が懸念される。
(2009年05月25日「基礎研マンスリー」)
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