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- 鉱工業生産09年2月~在庫調整が大きく進展
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■見出し
・在庫指数が大幅に低下
・生産の急速な落ち込みには歯止めがかかる見込み
■introduction
経済産業省が3月30日に公表した鉱工業指数によると、09年2月の鉱工業生産指数は前月比▲9.4%と5ヵ月連続の低下となり、ほぼ市場予想(ロイター集計:前月比▲9.2%、当社予想は同▲8.8%)通りの結果となった。出荷指数は前月比▲6.8%と5ヵ月連続の低下、在庫指数は前月比▲4.2%と2ヵ月連続の低下、前年比では▲1.7%と29ヵ月ぶりの低下となった。在庫率指数は前月比4.6%と5ヵ月連続で上昇した。
2月の生産を業種別に見ると、輸送機械が前月比▲23.2%(1月は同▲17.4%)と過去最大の落ち込みを記録したほか、輸出ウェイトの高い一般機械が前月比▲15.2%と3ヵ月連続で前月比二桁の低下となった。速報段階で公表される16業種中、石油・石炭製品を除く15業種が前月比で低下した。
財別の出荷動向を見ると、設備投資の一致指標である資本財出荷(除く輸送機械)は10-12月期の前期比▲8.4%の後、1月が前月比▲11.1%、2月が同▲7.1%となり、1、2月の平均は10-12月期よりも▲19.0%も低い水準となっている。また、消費財出荷指数は、10-12月期の前期比▲9.9%の後、1月が前月比▲11.5%、2月が同▲5.0%となり、1、2月の平均は10-12月期よりも▲19.5%も低い水準にある。10-12月期のGDP統計では、設備投資が前期比▲5.4%と急速に落ち込む一方、民間消費は同▲0.4%と小幅な減少にとどまったが、1-3月期は消費、設備ともに大きく落ち込む可能性が高いだろう。
生産の急速な落ち込みは続いているが、在庫が大きく減り始めたことは先行きの生産を見る上で明るい材料である。これまでは生産、出荷がほぼ同じペースで減少していたが、2月には出荷の落ち込み幅が前月比▲6.8%と生産の落ち込み幅(前月比▲9.4%)を下回り、このことが在庫調整の進展につながった。最終需要は引き続き減少しているものの、そのペースが企業の想定の範囲内におさまってきたことを意味している。
業種別には、これまで大幅な積み上がりが続いてきた電子部品・デバイス、情報通信機械が前月比▲10.6%、同▲13.2%といずれも2ヵ月連続で前月比二桁の減少となったほか、輸送機械が前月比▲20.3%、前年比▲33.4%と在庫の大幅な圧縮が進んだ。
なお、1-3月期の在庫が前期比で減少となることはほぼ確実と見られるが、過去の生産底打ちパターンを見ると、在庫が減少に転じてから2~3四半期後に生産が増加に転じている。
(2009年03月30日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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