2009年01月30日

鉱工業生産08年12月~生産の落ち込み幅は過去最大に

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・10-12月期の生産は前期比▲11.9%
・1-3月期の減産ペースはさらに加速する公算

■introduction

経済産業省が1月30日に公表した鉱工業指数によると、08年12月の鉱工業生産指数は前月比▲9.6%と3ヵ月連続の低下となり、市場予想を若干下回った(ロイター集計:前月比▲9.0%、当社予想は同▲10.0%)。出荷指数は前月比▲8.0%と3ヵ月連続の低下、在庫指数は前月比0.1%と4ヵ月連続の上昇となった。在庫率指数は前月比6.5%となり、この3ヵ月間で24.9%上昇した。在庫は景気後退局面としてはそれほど大きく積み上がっているわけではないが、出荷の急速な落ち込みを主因に在庫率指数は急上昇している。
12月の生産を業種別に見ると、輸出急減の影響を受けて、輸送機械、鉄鋼がそれぞれ前月比▲12.1%、▲17.1%と二桁のマイナスとなったほか、在庫積み上がりが続いている電子部品・デバイスも前月比▲18.8%と大幅な低下となった。速報段階で公表される16業種のすべてが前月比で低下した。08年10-12月期の生産は前期比▲11.9%と4四半期連続の低下となり、75年1-3月期の前期比▲6.7%を大きく上回る過去最大の減産幅となった。
財別の出荷動向を見ると、設備投資の一致指標である資本財出荷(除く輸送機械)は7-9月期の前期比▲5.6%の後、10-12月期も同▲8.6%の大幅減少となった。消費財出荷指数は、7-9月期の前期比▲1.1%の後、10-12月期は同▲9.9%と減少幅が大きく拡大した。
2/16に公表される10-12月期のGDP統計では、外需が前期比▲2%程度(寄与度)の急速な落ち込みとなることに加え、国内需要の柱である民間消費、設備投資がともに前期比で減少となることが予想される。実質GDPは前期比年率10%を超える大幅なマイナス成長となる可能性が高いだろう。
なお、景気の山(07年10月)を起点とした生産の調整幅は▲23.1%となり、第一次石油危機時(73/11~、▲20.0%)を超える過去最大の落ち込みとなった。鉱工業生産指数の動きから見る限り、今回の景気後退の深さは戦後最大と見ることができるだろう。
10-12月期の在庫循環図を確認すると、7-9月期の「在庫積み上がり局面」から「在庫調整局面」に移行した。在庫の積み上がり幅はそれほど拡大していないが、出荷が前年比▲15.0%と急速に落ち込んだ。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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