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2008年の起債市場に見るサブプライムショックの傷跡~リーマンブラザーズ破綻の影響~
金融研究部 取締役 研究理事 兼 年金総合リサーチセンター長 兼 ESG推進室長 德島 勝幸
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こうしたサブプライムショックの影響は、2008年の月別の公募普通社債の発行動向(条件決定ベース)にも、端的に表れている。公募普通社債の月別発行額には、従来、顕著に時期的な特色が見られた。2007年までの過去5年間の平均では、年末年始等の長期休暇や、期末・株主総会に絡む月(1月・3月・6月・8月・9月・12月)の発行額が小さいのに対し、期初である4月・5月や10月・11月、また、株主総会明けの7月には大量の起債が集中している。年によっては、景気の変動等により若干異なるパターンとなることもあったが、普通社債のスプレッド(国債対比の上乗せ利回り)を変動させる要因ともなっている。
しかし、2008年の月別発行額の推移を見ると、夏場までは近年の傾向と同様、4月・5月に1兆円前後と多額の公募普通社債が条件決定された後、秋になってリーマンブラザーズの破綻以降、状況が一変している。大量起債月であるはずの10月・11月の発行額が激減し、特に10月の条件決定額は3千億円を上回る程度で、2008年の月平均額の半分以下となったのである。その後、10月・11月の発行額減の反動が12月に発現し、12月の条件決定額は4月・5月とほぼ同水準の1兆円超えとなったのである。
もっとも、12月に条件決定された公募普通社債は、電力債等の他に、銀行や証券・ノンバンクの社債が約7割を占め、その中でも個人や機関投資家向けの劣後債が大半となっている。これらは、サブプライムショックで毀損した自己資本比率を嵩上げする目的であったとされる。内外株価や地価の大幅下落、円高及び金利水準の低下によって、個人にとって魅力的な投資先が他に乏しくなるという追い風を受けた中であったが、個人投資家に劣後債の商品内容・リスクを十分に説明した上で販売されたのだろうか。これもサブプライムショックの傷跡と言えるのかもしれない。
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