- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 鉱工業生産08年11月~10-12月期は過去最大の減産幅に
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■見出し
・在庫率が急上昇
・10-12月期は過去最大の減産幅に
■introduction
経済産業省が12月26日に公表した鉱工業指数によると、11月の鉱工業生産指数は前月比▲8.1%と2ヵ月連続の低下となり、市場予想を下回った(ロイター集計:前月比▲6.8%、当社予想も同▲6.8%)。出荷指数は前月比▲8.4%と2ヵ月連続の低下、在庫指数は前月比0.7%と3ヵ月連続の上昇となった。企業は在庫圧縮のために大幅な減産を行っている(この2ヵ月で▲11.0%の大幅低下)が、最終需要が輸出を中心にかつてないほどの勢いで落ち込んでいるため、在庫調整には進展が見られない。在庫率指数は前月比12.4%の急上昇となった。
11月の生産を業種別に見ると、輸出急減の影響を受けて、輸送機械、一般機械がそれぞれ前月比▲14.9%、▲9.7%と大きく落ち込んだほか、在庫積み上がりが続いている電子部品・デバイスが前月比▲11.6%と大幅な低下となった。また、鉄鋼が前月比▲9.0%と大きく落ち込むなど、自動車減産の影響が素材業種に広がっていることをうかがわせるものとなっている。速報段階で公表される16業種中、石油・石炭を除く15業種が前月比で低下した。
財別の出荷動向を見ると、設備投資の一致指標である資本財出荷(除く輸送機械)7-9月期に前期比▲5.6%の大幅減少となった後、10月が前月比▲3.0%、11月が同▲10.0%となった。10、11月の平均は7-9月期よりも▲5.9%低い水準となっている。消費財出荷指数は、7-9月期が前期比▲1.1%の減少となった後、10月が前月比▲2.3%、11月が同▲4.6%となり、10、11月の平均は7-9月期よりも▲6.6%低い水準にある。
7-9月期のGDP統計では、設備投資が前期比▲2.0%と大きく落ち込む一方、民間消費は前期比0.3%の増加となったが、10-12月期は国内需要の柱である民間消費、設備投資ともに前期比で減少となることが見込まれる。10-12月期の外需が大幅に悪化していることと合わせて考えると、10-12月期の実質GDPは大幅なマイナス成長となることが予想される。98年1-3月期の前期比年率▲7.5%に匹敵するような大幅マイナス成長となる可能性もあるだろう。
(2008年12月26日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/03/21 | 消費者物価(全国25年2月)-コアCPI上昇率は当面3%前後で推移する見通し | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/03/19 | 貿易統計25年2月-関税引き上げ前の駆け込みもあり、貿易収支(季節調整値)が黒字に | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/03/11 | 2024~2026年度経済見通し-24年10-12月期GDP2次速報後改定 | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/03/07 | 可処分所得を下押しする家計負担の増加-インフレ下で求められるブラケットクリープへの対応 | 斎藤 太郎 | 基礎研マンスリー |
新着記事
-
2025年03月24日
パワーカップル世帯の動向-2024年で45万世帯に増加、うち7割は子のいるパワーファミリー -
2025年03月21日
東南アジア経済の見通し~景気は堅調維持、米通商政策が下振れリスクに -
2025年03月21日
勤務間インターバル制度は日本に定着するのか?~労働時間の適正化と「働きたい人が働ける環境」のバランスを考える~ -
2025年03月21日
医療DXの現状 -
2025年03月21日
英国雇用関連統計(25年2月)-給与(中央値)伸び率は5.0%まで低下
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【鉱工業生産08年11月~10-12月期は過去最大の減産幅に】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
鉱工業生産08年11月~10-12月期は過去最大の減産幅にのレポート Topへ