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- 鉱工業生産08年9月~輸出産業を中心に減産ペースが加速
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■見出し
・7-9月期の生産は前期比▲1.2%
・10-12月期は減産ペースが加速する見込み
■introduction
経済産業省が10月29日に公表した鉱工業指数によると、9月の鉱工業生産指数は前月比1.2%と2ヵ月ぶりの上昇となり、市場予想を上回った(ロイター集計:前月比0.5%、当社予想は同▲0.2%)。出荷指数は前月比0.4%と2ヵ月連続の上昇、在庫指数は前月比1.9%と3ヵ月ぶりの上昇となった。8月に前月比7.7%の大幅上昇となった在庫率指数は前月比▲0.6%の小幅低下となった。
9月の生産を業種別に見ると、8月に大きく落ち込んだ輸送機械、一般機械がその反動から高めの伸びとなった(輸送機械~8月:前月比▲9.2%→9月:同3.4%、一般機械~8月:前月比▲6.2%→9月:同5.5%)が、在庫積み上がりから生産調整が続いている情報通信機械が前月比▲5.3%と大幅な低下となった。速報段階で公表される16業種中、8業種が前月比で上昇(8業種が低下)となった。
7-9月期の生産は前期比▲1.2%と3四半期連続の低下となり、4-6月期の同▲0.8%からマイナス幅が拡大した。輸出ウェイトの高い輸送機械、一般機械の2業種で生産全体を1%近く押し下げており、輸出の減速が生産の不振に直結する構図がより鮮明となってきた。
7-9月期の在庫循環図を確認すると、4-6月期に続き「在庫積み上がり局面」に位置しているが、出荷が約6年ぶりに前年比でマイナスとなる一方、在庫の増加幅が拡大したため、「在庫調整局面」に近づく形となった。10-12月期には出荷がさらに落ち込むことにより、「在庫調整局面」に移行し、生産調整が本格化する可能性が高いだろう。
財別の出荷動向を見ると、設備投資の一致指標である資本財出荷(除く輸送機械)は前月比5.3%と4ヵ月ぶりに増加したが、7-9月期では前期比▲5.7%の大幅減少となった。GDPベースの設備投資は、4-6月期は前期比▲0.5%と小幅な減少にとどまったが、7-9月期は減少幅が拡大する可能性が高いだろう。
(2008年10月29日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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