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■目次
1--------はじめに
2--------社会保障と経済成長の関係
3--------潜在的国民負担率50%の意味
4--------社会保険と税
5--------効率か公平か
6--------むすび-公平を犠牲にしない効率化
■introduction
2004年から2006年にかけて、社会保障の3つの柱とも言うべき年金、介護、医療の3分野で制度改革が実現した。2004年の年金改革では、いわゆるマクロ経済スライドが導入された。それにより現役世代の人口の減少や受給者の寿命の伸びを考慮して年金給付を減額することとなった。2005年の介護保険の改革では、要支援に新たに1・2の区分を設け、従来要介護1に区分されていた人々の半数を要支援2に区分するなどにより、軽度要介護者への給付を見直し、同時に重度要介護者にならないための予防を中心においた。また、介護保険3施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設)の居住費・食費を自己負担とし、介護療養型医療施設13万床を2011年度末までに廃止することとした。最後に2006年の医療制度改革では、(1)現役並みの所得がある高齢者の自己負担割合引き上げ、(2)所得の高い被保険者の高額療養費における自己負担割合引き上げ、(3)生活習慣病対策(メタボ対策)の導入、(4)在院日数の短縮、(5)医療だけで23万ある療養病床を2012年度までに15万床に縮減、などの施策が打ち出された。その上で、75歳以上の高齢者だけを対象とする後期高齢者医療制度を設立し、その制度の財源として高齢者自らが負担する保険料を導入した。
これらの施策の背景には、社会保障のコストが増大することへの強い懸念がある。当時の小泉内閣における経済政策の指針となった「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」(いわゆる「骨太の方針」)では、まず2002年に「社会保障制度が経済と調和し将来にわたり持続可能で安心できるものとなるように再構築し、国民負担率の上昇を極力抑制していく」とした。翌2003年には「医療制度改革を加速するとともに、年金制度や介護制度について新たな改革を行い、持続可能な制度を確立し国民の安心を確保しながら社会保障給付費の伸びを抑制する」とし、同時に「例えば潜在的国民負担率で見て、その目途を50%程度としつつ、政府の規模の上昇を抑」えるとしている。さらに2006年には、毎年ほぼ1兆円程度自然増する一般会計の社会保障費を、2007年度から5年間2,200億円ずつ、計1兆1,000億円削減することを目標とした。
毎年20兆円を超える財政赤字を抱える国の一般会計では収支のバランスを回復することが喫緊の課題となっている。
(2008年10月17日「基礎研マンスリー」)
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