2008年10月17日

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高齢化社会が進展する中、老後の暮らしへの関心が高まっている。その関心もどちらかといえば不安・心配である。生命保険文化センターによる調査では、老後の生活への不安を持っている人の割合が年々増えており、2007年には84.6%に達している(下図)。不安の内容について尋ねると、「公的年金があてにならない」が82%、「健康を害し、日常生活に支障が出る」が48%であった。年金や医療・介護など老後の暮らしを支える社会保障への不安を多くの人が持っているようである。それは、昨今の年金記録問題や後期高齢者医療についての議論でもみられる。しかし、「年金が破綻する」という議論にみるように、そうした社会保障への不安はメディアが主導して必要以上に強調されているのかも知れない。
そこでこの基礎研レポートでは、サラリーマンの老後に焦点をあてて、社会保障を中心にさまざまな角度から現状と問題点、解決の方向性を探ることにした。掲載されているのは、社会保障など老後の生活に関連する領域を研究対象とする、ニッセイ基礎研究所の研究員たちが執筆した7編のレポートである。
執筆に当たって、各人が念頭に置いたのは40歳代、50歳代の人々の老後の暮らしである。現在の高齢者は年金を受給し、高齢者医療や介護の対象になりつつある。他方、20歳代、30歳代の人々は老後よりも目の前の生活に精一杯だろう。そこで今まさに老後の準備を始めようという人々を念頭に置いて、15年~25年後の老後の生活やその柱である社会保障を考える上で、参考になるようなレポートを書くようにした。もう1つ、これから何が問題になりそうかについてあまり専門的になりすぎず、分かりやすく説明するよう心掛けた。当然ながら、できあがったレポートはテーマの性質と筆者の個性を反映しているものの、これらの要望に応えた内容になっていると思う。

(2008年10月17日「基礎研マンスリー」)

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臼杵 政治

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