2008年09月26日

GDP速報の推計精度は向上したのか

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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  1. 日本のGDP速報は、公表の早期化や推計精度の向上を目的として2002年8月に推計方法が大幅に変更された。
  2. 新推計方法への移行から6年が経過したが、実質GDP成長率(四半期ベース)の速報から確報への改定幅は、旧推計の前期比0.79%(年率3.20%)から新推計では前期0.35%(年率1.45%)へと縮小しており、推計精度には一定の向上が見られる。
  3. ただし、設備投資の推計精度は依然として低く、速報(1次速報)から確報への平均改定幅は前期比1.82%と非常に大きい。また、設備投資の1次速報値は2次速報値で大幅に改定されることが多いが、2次速報から確報への平均改定幅も前期比1.54%と大きく、2次速報でも推計精度はほとんど向上していない。このため、GDP速報で設備投資の基調判断をすることが困難となっている。
  4. 米国の実質GDP成長率の速報から確報への改定幅は、前期比年率0.69%と日本のほぼ半分となっている。
  5. GDP速報を景気判断の指標として用いるためにも、設備投資を中心として推計精度のさらなる向上が求められる。
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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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