- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 貿易収支赤字化の可能性を探る
2008年06月27日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
- 貿易黒字は2007年終わり頃から縮小傾向が続いているが、その要因を数量面と価格面に分けてみると、輸出数量が輸入数量を上回ることにより数量要因は貿易収支を改善する方向に働いているのに対し、原油価格高騰を主因とした輸入価格の大幅上昇により価格要因は貿易収支を大幅に悪化させている。足もとでは価格要因のマイナスが数量要因のプラスを上回り、貿易収支の悪化傾向は定着しつつある。
- 2008年5月の貿易黒字(季節調整値)は前月比横ばいとなり、貿易収支の悪化にいったん歯止めがかかる形となったが、6月に入り原油高がさらに進んでいることもあり、貿易黒字の縮小ペースは今後加速する可能性が高い。
- 貿易収支の先行きを試算したところ、原油価格以外の変数が今後横ばいで推移した場合、原油価格(WTI)が145ドル/バレル程度まで上昇すると貿易収支は赤字化するという結果になった。
- 貿易収支の赤字化は、輸入コストの上昇による企業収益の圧迫がさらに進むことを意味する。日銀短観(3月調査)の経常利益計画では、2007年度下期、2008年度上期と前年比で減少となった後、2008年度下期には回復することが見込まれているが、原油高が止まらなければ、企業収益の低迷はさらに長期化することになるだろう。
(2008年06月27日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/03/19 | 貿易統計25年2月-関税引き上げ前の駆け込みもあり、貿易収支(季節調整値)が黒字に | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/03/11 | 2024~2026年度経済見通し-24年10-12月期GDP2次速報後改定 | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/03/07 | 可処分所得を下押しする家計負担の増加-インフレ下で求められるブラケットクリープへの対応 | 斎藤 太郎 | 基礎研マンスリー |
2025/03/04 | 法人企業統計24年10-12月期-経常利益(季節調整値)は過去最高を更新したが、設備投資は低調 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年03月19日
日銀短観(3月調査)予測~大企業製造業の業況判断DIは2ポイント低下の12と予想、トランプ関税の影響度に注目 -
2025年03月19日
孤独・孤立対策の推進で必要な手立ては?-自治体は既存の資源や仕組みの活用を、多様な場づくりに向けて民間の役割も重要に -
2025年03月19日
マンションと大規模修繕(6)-中古マンション購入時には修繕・管理情報の確認・理解が大切に -
2025年03月19日
貿易統計25年2月-関税引き上げ前の駆け込みもあり、貿易収支(季節調整値)が黒字に -
2025年03月19日
米住宅着工・許可件数(25年2月)-着工件数(前月比)は悪天候から回復し、前月から大幅増加、市場予想も上回る
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【貿易収支赤字化の可能性を探る】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
貿易収支赤字化の可能性を探るのレポート Topへ