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- 6月決定会合・白川総裁定例会見~世界的にインフレリスクは高まっている
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■見出し
・世界的にインフレリスクは高まっている
・金融経済月報:景気判断「減速」据え置きながらも、輸出と収益の現状を下方修正
・定例記者会見:各国全く同じような政策を行うことが協調だとは思わない
■introduction
6月12・13日行われた決定会合は、全員一致(7人)で現状維持が決定された。
白川総裁は会見で「原油価格が最高値を更新するなど、世界的なインフレ方向のリスクは一段と高まっている」とインフレへの警戒感を示した。
経済・物価の先行きについて「実体経済面では原油価格の高騰などによる交易条件の悪化に伴い所得形成の弱まりが国内民需の下振れをもたらすリスクと、物価面では消費者のインフレ予想や企業の価格決定行動を含め、先行きの上振れリスクを注意深く見ていく必要がある」とし金融政策運営については「経済・物価の両面のリスクを踏まえたうえで、物価安定のもとでの持続的な成長を実現できるような適切な政策判断に努めていきたい」と強調した。
市場では欧米中央銀行と協調して利上げするのではとの思惑があるが、これに対して「各国の置かれた経済・物価情勢は異なり、それに応じ金融政策も異なる」と否定的な見解を示した。
筆者は今回の決定会合・総裁会見で(1)4月の展望レポートとの対比で景気と物価の状況に対してどういう評価をするのか(4月時点では最大のリスクが景気下振れとなっていたが、インフレとの順番がどうなるのか)、(2)米国のドル安阻止に向けた口先介入に対する評価、を注目していた。
インフレについては先月に比べて警戒感を強く示したとの印象を受ける。ただし、日銀はインフレと同時に景気下振れについてもかなりの警戒感をもっているようだ。会見で「4月対比で言うと、景気については下振れリスク、物価については上振れリスクを意識している」との認識を示した。月報で個別判断として企業収益、輸出といった項目を下方修正している。
ここにきて景気のエンジンであった企業部門の不振が目立つ。7月初めの短観などを踏まえ、展望レポートの中間評価(7月15日)でインフレ上振れと景気下振れリスク認識がどういう相対関係になるのか注目だ。
また(2)については、バーナンキFRB議長やポールソン財務長官が相次いでドル安懸念を示していることから白川総裁の評価を市場も注目していたが、「為替相場は色々な要因で変動するが、経済のファンダメンタルズを反映すべきだということに尽きる」と述べるにとどめ、「ドル安」に対する評価には言及しなかった。
(2008年06月13日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1837
- ・ 1992年 :日本生命保険相互会社
・ 1995年 :ニッセイ基礎研究所へ
・ 2021年から現職
・ 早稲田大学・政治経済学部(2004年度~2006年度・2008年度)、上智大学・経済学部(2006年度~2014年度)非常勤講師を兼務
・ 2015年 参議院予算委員会調査室 客員調査員
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