2008年04月10日

鉱工業生産基準改定~直近のピークは07年10月で変わらず

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・基準改定後も生産指数のピークは07年10月
・今回の公表方法は問題も

■introduction

経済産業省は4/10、鉱工業指数の基準改定(2000年基準→2005年基準)後の暫定値(2003年1月~2008年1月分)を公表した。
2005年基準指数は、原則として2000年基準を踏襲したものとなっているが、採用品目の改廃状況に応じて業種の内訳分類の一部が変更された。また、基準改定に伴い、プロジェクタ、光ディスク、ファインセラミックスなど34品目が新たに採用された一方、生産量の減少などからファクシミリ、PHS、ビデオテープレコーダー、味噌、醤油など71品目が廃止された。指数全体の採用品目数は旧基準の521から496へと減少した。
新旧の業種ウェイト(生産、付加価値ベース)を比較すると、輸送機械工業が1229.2(1万分比、以下同じ)から1658.8へと大幅に上昇する一方、電子部品・デバイス工業が1140.7から799.3へと大幅に低下している。
本日発表された新基準の生産指数を旧基準と比較すると(2000年基準を2005年=100に変換して比較)、基調的な動きはそれほど変わっていないが、新基準のほうが動きはややなだらかとなっている。たとえば、旧指数では07年5月から08年1月まで前月比でプラスとマイナスを交互に繰り返していたが、新指数では07年5月から8月までは増加が続く(6月は横ばい)という形となった。過去1年間の四半期毎の伸び率(前期比)を比較すると、生産が停滞気味であった07年前半は上方修正される(07年1-3月期:前期比▲1.3%→▲0.5%、4-6月期:前期比0.2%→0.7%)一方、伸び率が高かった07年後半は下方修正(7-9月期:前期比2.2%→1.7%、10-12月期:前期比1.3%→0.8%)された。
(景気はすでに後退局面入りの公算大)
景気の転換点を探る上で注目されていた、生産指数の直近のピークは2007年10月で、旧基準と変わらなかった。当研究所では、2000年基準の指数をもとに、鉱工業生産は2007年10月をピークとして減少局面に入っており、景気もすでに後退局面入りしていると判断していたが、今回の基準改定の結果はこうした見方を変えるようなものではない。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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