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- 3月ECB政策理事会~景気と物価の両睨みは続く
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■見出し
・政策転換の決め手にかけ政策金利は9カ月連続で据え置き
・トリシェ総裁のコメントは先月とほぼ同じ内容
・ECBスタッフ見通しは成長率を下方、物価を上方に修正
・利下げの条件は物価上昇圧力の緩和
■introduction
欧州中央銀行(以下、ECB)は6日開催の3月の政策理事会で4%での政策金利の据え置きを決めた。
先月の声明文では、物価の安定を最重視する基本スタンスを維持しながら、インフレ警戒のトーンを緩和、景気見通しの下方修正を示唆する幾つかの修正を加えて、スタンスを中立化、状況の変化に機動的に対応できるよう体制を整えていた。
結果として、この間の新たな経済指標が、「景気は減速方向にはあるものの、成長は続いており、価格転嫁や賃金設定を通じたインフレ圧力もなお根強い」という判断を変える内容でなかったことが、政策金利の据え置きと中立スタンス維持の理由と考えられよう。
直近の主要な経済指標は、ユーロ圏の製造業PMIは低下したが(1月52.8→2月:52.3)サービス業PMIは反転(同:50.6→同:52.3)、サービス業と製造業を合わせた合成PMIも同51.8→同52.8と拡大と縮小の分かれ目となる50を上回る水準で持ちこたえた。その他、ドイツのIfo企業サーベイは現状指数が小売業主導で反発、物価急騰のあおりを受けていた小売売上高も4カ月振りに反転、前月比0.4%増となった。1月の失業率も7.1%と93年の統計開始以来の最低水準での横這いが続き(図表1)、雇用・所得の伸びに支えられた消費拡大への期待をつなぐ内容であった。
他方、消費者物価上昇率は2月速報値も前年比3.2%で高水準の横這い、生産者物価指数は前年比4.9%で前月を上回った(図表2)。
(2008年03月07日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1832
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2015~2024年度 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017~2024年度 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022~2024年度 Discuss Japan編集委員
・ 2022年5月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
・ 2024年10月~ 雑誌『外交』編集委員
・ 2025年5月~ 経団連総合政策研究所特任研究主幹
伊藤 さゆりのレポート
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