- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 暮らし >
- 子ども・子育て支援 >
- 次世代法とCSR経営 -「地域が支える」子育て支援
次世代法とCSR経営 -「地域が支える」子育て支援

土堤内 昭雄
このレポートの関連カテゴリ
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
次世代法では国や地方公共団体などの特定事業主と、301人以上の労働者を雇用する一般事業主は、平成16年度末までに次世代育成支援のための行動計画を策定することが義務付けられた。行動計画の策定にあたっては、基本的な視点として「仕事と子育ての両立支援」に加えて、「社会全体による支援」や「地域における子育て支援」が挙げられている。
平成19年9月末現在の届出状況は、全国の301人以上企業の97.6%にあたる12,961社が提出済みである。策定した当該計画の目標を達成するなど一定の基準を満たした企業は、厚生労働大臣から次世代育成支援事業主として認定され、認定マーク(愛称「くるみん」)を広告、商品、求人広告等につけることができる。平成19年9月末現在では393社の認定申請があり、審査中が16社で、既に366社が認定を受けている。
認定条件は、育休の取得しやすさや短時間勤務制度など職業生活と家庭生活の両立支援などの雇用環境の整備が中心になっているが、このような認定基準を企業のCSR経営の観点から考えてみよう。CSR経営は企業を取り巻くステークホルダーに対して本業を通して社会的責任を果たすことである。次世代法の認定基準では、「従業員」というステークホルダーに対する両立支援が重要な条件と考えられている。
企業にとっては、「地域」も重要なステークホルダーのひとつだ。したがって、「地域の子育て支援」も大きな社会的責任といえる。しかし、次世代法の認定基準では、「地域の子育て支援」だけでは認定事業主にはなれない。つまり、「従業員」の両立支援を行うファミリー・フレンドリー企業という性格が前提となっているのだ。
>次世代育成支援とは、行動計画の策定指針にも示されているように、社会全体が次世代を育成支援することである。したがって、企業の役割は「従業員」への直接的な両立支援とともに、「地域の子育て支援」がもっと評価されるべきだろう。何故なら子育て「従業員」のいない企業にとっても、CSR経営という観点からは、次世代育成支援は極めて重要なテーマであるからだ。「地域が支える」子育て支援に寄与する企業は、より本質的な次世代育成支援企業ではないだろうか。
(2007年11月08日「研究員の眼」)
このレポートの関連カテゴリ
土堤内 昭雄
土堤内 昭雄のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2018/12/20 | 「定年退社」します!-「生涯現役」という人生の「道楽」 | 土堤内 昭雄 | 研究員の眼 |
2018/11/28 | 「人生100年時代」の暮らし方-どう過ごす?! 定年後の「10万時間」 | 土堤内 昭雄 | 基礎研レポート |
2018/11/27 | 「平成」の30年を振り返って-次世代へのメッセージは、「レジリエントな社会づくり」 | 土堤内 昭雄 | 研究員の眼 |
2018/10/23 | 「幸せ」実感できぬ社会-豊かな時代のあらたな課題 | 土堤内 昭雄 | 研究員の眼 |
新着記事
-
2025年03月18日
長期投資の対象、何が良いのか-S&P500、ナスダック100、先進国株式型で良かった -
2025年03月18日
中国で求められる、働きやすく、子育てしやすい社会の整備【アジア・新興国】中国保険市場の最新動向(68) -
2025年03月18日
グリーン車から考える日本の格差-より多くの人が快適さを享受できる社会へ- -
2025年03月18日
気候変動:アクチュアリースキルの活用-「プラネタリー・ソルベンシー」の枠組みに根差したリスク管理とは? -
2025年03月18日
EUがIRRD(保険再建・破綻処理指令)を最終化-業界団体は負担の軽減とルールの明確化等を要求-
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【次世代法とCSR経営 -「地域が支える」子育て支援】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
次世代法とCSR経営 -「地域が支える」子育て支援のレポート Topへ