- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 欧州経済 >
- 10月BOE金融政策委員会~金融混乱の実体経済への影響を注視
■見出し
・政策金利は3カ月連続で据え置き
・当面は実体経済への影響を見極めるための様子見
■introduction
・取り付け騒ぎでスタンスを転換、市場は小康状態
10月3日、4日に開催されたイングランド銀行(以下、BOE)の金融政策委員会(MPC)は、政策金利を5.75%の水準で据え置くことを決めた。
BOEは、8月にサブプライム問題が世界的に広がった後も、FRBやECBを始めとする多くの中央銀行が行った臨時の流動性供給に対して、「過剰なリスク・テイクを奨励して、将来の金融危機の種をまくことになる」として批判的な立場をとり、短期金融市場での需給の逼迫に静観の構えを採ってきた。
しかし、9月13日にBOEから緊急融資を受けた中堅銀行のノーザン・ロックに取り付け騒ぎが発生したことをきっかけに、預金の全額保護を表明、通常は行わない3カ月物の資金供給を行う用意があることを示し、銀行がBOEから借入を行う際の担保として、住宅ローン債権を認める、という大きな方向転換を余儀なくされた。
・政策金利の据え置きは大方の予想通り
3カ月物の資金供給は、政策金利+1%以上という懲罰金利が適用されたこともあり入札する金融機関はなかったが、3カ月物のインター・バンク金利は、BOEの政策方針の転換や、米国の利下げの効果もあって、ピーク・アウトしており、9月のMPC直後に比べれば市場環境は改善している。
それでも、市場の不透明感は払拭されていないこと、サブプライム問題が、金融システムの内部の問題に留まらず、取り付け騒ぎという家計の不安に直結する方向に展開したことから、今回の据え置き決定は、大方の予想通りの結果であった
(2007年10月05日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1832
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
伊藤 さゆりのレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/09/18 | 欧州経済見通し-景況感の回復に乏しく、成長は緩慢 | 伊藤 さゆり | Weekly エコノミスト・レター |
2024/09/06 | 14年振りの英労働党政権-短かったハネムーン期間 | 伊藤 さゆり | 基礎研マンスリー |
2024/07/31 | 右傾化した欧州議会-極右伸長の政策への影響は限定的だが | 伊藤 さゆり | Weekly エコノミスト・レター |
2024/07/11 | EUの対中国デリスキングの行方-2024年欧州議会選挙を越えて | 伊藤 さゆり | ニッセイ基礎研所報 |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年10月23日
IMF世界経済見通し-ディスインフレは順調に進むが、下振れリスクも -
2024年10月23日
中国経済:24年7~9月期の評価-小幅減速にとどまるも内需悪化には歯止めがかからず、見かけよりも厳しい状況 -
2024年10月23日
円安再燃、1ドル160円に逆戻りするリスクは?~マーケット・カルテ11月号 -
2024年10月23日
大学卒女性の働き方別生涯賃金の推計(令和5年調査より)-正社員で2人出産・育休・時短で2億円超、男性並で3億円超 -
2024年10月23日
目玉焼きは英語でサニーサイドアップ、とは限らない-意図や習慣を踏まえた訳語の選択-
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
【10月BOE金融政策委員会~金融混乱の実体経済への影響を注視】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
10月BOE金融政策委員会~金融混乱の実体経済への影響を注視のレポート Topへ